三菱重工業が高収益企業へと変身中 自前主義から脱却、積極的にM&A

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   かつては低成長企業の代表格だった三菱重工業が、事業規模5兆円の高収益企業へと脱皮を図っている。

   2014年4月1日付で社内の大規模な組織改革を完成させたほか、独シーメンスと製鉄機械分野を統合することも発表した。いたずらに規模を追わず、利益を重視する企業が多い中、三菱重工は規模も利益も同時に追い求める。

「5兆円規模にならなければ、世界に伍していくことは困難」

事業拡大中(画像は三菱重工業WEBサイト)
事業拡大中(画像は三菱重工業WEBサイト)

   「5兆円規模にならなければ、継続的に世界に伍していくことは困難」。宮永俊一社長はこう言い切る。世界で競合する米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスの年間売上高は、優に10兆円を超える。このままでは、世界での競争に勝ち残れないという危機感があるのだ。

   1970年代後半から最近まで、同社の売上高は2兆~3兆円に概ね収まっていた。営業利益率も2~4%程度だった時期が多い。日本経済の停滞を反映するかのように、低成長時代が続いた。

   こうした過去からの決別を宣言したのは2010年。大宮英明前社長時代に策定した事業計画だ。計画ではこれまでの同社を「自前主義」と分析。低成長に陥り、機会損失を招いていると自己批判した。これからは積極的な事業分離・吸収で、自前主義から脱却し、真の総合力を発揮するとの戦略を掲げた。

日立製作所と火力発電システム分野の新会社を設立

   2013年に宮永氏が社長に就任して以降、こうした戦略は着実に実を結んでいる。例えば社内の組織改革。これまで9つの事業本部に分かれていたが、2014年4月、「エネルギー・環境」「交通・輸送」「防衛・宇宙」「機械・設備システム」の4ドメイン(事業領域)に完全移行した。ドメインの権限を強め、より大規模な戦略的投資をスピーディーに実行できる体制とした。これまでは、ある顧客に対し、事業本部ごとにバラバラに営業することもあったが、大幅な効率化を図った。

   M&Aにも積極的だ。14年2月、日立製作所と火力発電システム分野の新会社を設立、同分野で世界首位を目指している。13年5月には、米国の航空機用エンジンメーカー、プラット・アンド・ホイットニー(P&W)の中小型ガスタービン事業の買収手続きを終えた。デンマークのヴェスタス社と設立した洋上風力発電設備専業の合弁会社も14年4月に営業開始。現在は折半出資だが、2016年には三菱重工側の出資比率を51%とし、主導権を握る予定だ。さらに5月7日、独シーメンスと製鉄機械分野を統合すると発表。三菱重工の連結子会社、三菱日立製鉄機械が51%を出資する合弁会社を2015年1月に設立することで合意した。

17年ぶりに過去最高益を更新

   三菱重工の2014年3月期連結決算は、売上高が前期比18.9%増の3兆3495億円、営業利益は26.1%増の2061億円と17年ぶりに過去最高益を更新した。2015年3月期は、一連のM&Aや事業の伸長によって、売上高は19.4%増の4兆円、営業利益は21.3%増の2500億円を見込む。

   2015年3月期は3か年の中期事業計画の最終年度。売上高4兆円を達成した先に、いよいよ5兆円が視野に入ってくる。

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