空き家が空き家を招き、「町がなくなる」?
郊外の住宅が売れなくなっているのは、なにも都心マンションの人気が高いからだけではない。
哲学者で大阪芸術大学芸術学部の純丘曜彰教授は、マイナビニュースの「ただでも売れない郊外住宅」(2014年5月12日付)で、「すでに地方都市や郊外住宅地の不動産が流動性を失い始めている」と指摘している。「いくら建物が立派でも、街や村がなくなれば、住宅としての意味をなさないからだ」という。
住宅が減っていくのを放っておくと、空き家や空き地が増えて、「住宅地」そのものが衰退してしまう。
たとえば、かつては通勤圏内だった住宅地であっても、親世代が亡くなったり、子ども世代が都心に移住したりすることで空き家になっていく。きちんと整理・処分していってくれればいいが、所有者が不明の場合はどんなに朽ちても、壊して撤去することもできない。
歯が抜けたような住宅地になると、町内会が組織できなくなったり、空き家に不審者が出入りしたり、ボヤが起こった家屋がそのままになっていたりと、防犯上も悪くなる。町のイメージダウンになり、さらに空き家が増える「悪循環」に陥っていく。
そうなると、住宅は売りに出しても売れなくなる。