医者や患者にプラス?マイナス? 「混合診療」の大幅拡大は進むのか

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医師会などは新制度に反対

   実際に、これまでも国内外で承認された薬でさえ不適切な使用で多くの副作用被害を出すケースがあり、また市販後に新たな副作用や不具合が確認された薬や医療機器も珍しくない。そのために公的な審査機関で何重ものチェックをしているわけで、患者との「合意」を前提にするとはいえ、新しい治療法や薬を、個々の医師の判断に任せるのは無謀との指摘は多い。こうしたことから、当の患者団体をはじめ、医師会なども新制度に反対しているのが現実だ。

   また、混合診療が広がると、製薬メーカーや医療機器メーカーは、膨大なコストをかけて国の承認をわざわざ得るインセンティブがなくなり、未承認のまま自由診療で提供することになりかねない。そうなれば、保険が頼りの低所得者は高額の新しい治療や投薬が受けられなくなる恐れがある。

   さらに、混合診療の拡大は環太平洋経済連携協定(TPP)でもテーマになっている。高度な医療が自由診療であり続ければ、高額な医療費に備え民間の医療保険に加入しようと考える人も増えるだろう。つまり、混合診療拡大は、「保険分野での市場の開放という米国の要求に沿ったもの」(医療関係議員)と指摘されるのだ。

   規制改革会議では、患者と医師が作成する診療計画の安全性評価を中立的な専門家に委ねるといった議論も出ているが、混合診療の拡大を支持する側からも、「より客観的なチェックには、新制度の創設よりも、国があらかじめ混合診療の対象となる治療法を定める現行制度の弾力的な運用が現実的だ」(産経4月29日朝刊「主張」)との指摘が出ている。

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