「成功報酬型」の求人情報メディアなどを運営する「リブセンス」の経営が変調をきたしている。2014年5月16日の株価はストップ安を付け、年初来安値を更新した。
同社は2014年12月期第1四半期(1~3月期)決算を、5月15日に発表した。売上高は前年同期に比べて伸びたものの、広告宣伝費や人件費の負担が増えたことで営業利益、四半期利益は減益だった。
売上高、2013年4~6月期からジワジワ下落
リブセンスの2014年1~3月期決算によると、売上高は前年同期比15.3%増の9億8700万円だったが、営業利益は67.2%減の1億3700万円、四半期利益は65.0%減の8200万円にとどまった。減益の要因は、広告宣伝費と事業規模の拡大に伴う人件費が増加したため。販売管理費は前年同期よりも2倍超も増え、7億7600万円にものぼった。
これを受けて、5月16日の株価は年初来安値を更新。前日比150円安のストップ安となる786円だった。1月6日には2586円(年初来高値)を付けていたのだから、半年も経たないうちに3分の1を割り込んでしまったのだ。
リブセンスといえば、村上太一社長が2006年、早稲田大学1年生の時に設立。求人広告の無料掲載や、当時としては画期的な「採用祝い金」などを用いたアルバイト情報サイト「ジョブセンス」などのサービスを提供して業績を伸ばしてきた。12年10月には、村上社長が史上最年少で東証1部に上場したことでも知られる。
順調に思われていた同社だが、大きな「壁」にぶち当たっているようだ。
同社の売り上げは2013年4~6月期をピークに落ち込んでいる。売上高の推移をみると、ピーク時の13年4~6月期は12億4500万円。それ以降、13年7~9月期が10億8700万円、同10~12月期が10億6600万円と、ジワジワと下がってきた。
売上高の8割超を占める求人メディアの状況について、リブセンスは決算資料で、2013年後半から続くアルバイトを中心とした労働需給のひっ迫などによって、前年同期に比べて伸び悩み、前期(13年10~12月期)との比較でも季節性の影響で減少した、と説明している。
「売上高とSEOとの関係はゼロではない」
2014年1~3月期に、リブセンスの広告宣伝費が増えたのは、求人サービスの認知度や集客力のアップを狙って複数の地方都市で「ジョブセンス」のテレビCMを展開したためだ。
とはいえ、同社の求人情報サイトの利用者は、ヤフーやグーグルなどの検索エンジンからの流入が多いはず。
そんなこともあって、インターネットなどでは「テレビCMを投入したのは、SEO(検索エンジンの最適化)がうまく機能しなくなったためではないのか」との憶測が広がった。つまり、ネット検索の上位に「ジョブサイト」が引っかからなくなってきたのではないかというのだ。
ネットでは、そのことを指摘する記述が多くみられる。たとえば、
「リブセンス、一応検索してみた。アルバイトで9ページ目、求人で4ページ目って…」
「ジョブセンスは去年の12月初めにアルバイトで2ページ目に落ちてからじわじわ落ちてったな」
といった具合だ。
SEOについて、リブセンスは「昨年5月以降、グーグルがアルゴリズムの変更をたびたび行っていて、当社もそれに対応しているのですが、いつもうまくいっているわけではありません」と説明。売上高が落ちていることも、「(SEOとの関係は)ゼロではないと考えています」という。
自身のサイトが検索エンジンの上位に表示されるように工夫するSEOは、どの企業も熱心だし、リブセンスのような企業にとってはある意味生命線ともいえる。
ただ、リブセンスは、「SEOだけでの対応はリスクであるとの認識はあります。それもあって現在、Web広告やテレビCMにチャネルを拡大しているところです」と話している。