双葉町の抗議文と食い違っている?
「美味しんぼ」の鼻血描写を巡り、双葉町は2014年5月7日、「現在、原因不明の鼻血等の症状を町役場に訴える町民が大勢いるという事実はありません」と小学館に抗議している。
ところが、岡山大などが町に協力を依頼した今回の調査では、鼻血の症状が有意に多いとの結果が出ているのだ。これに対し、木野龍逸さんは、自らのツイートをまとめた「togetter」上で、「なんだか、双葉町の抗議文と食い違ってないですか?」と疑問を投げかけた。
論文で調査結果を紹介している熊本学園大の中地重晴教授は、取材に対し、「調査結果は、昨年8月に双葉町に報告しています。町側は、そのことを忘れているのではないですか」と指摘した。最終報告については、岡山大が中心になって論文にまとめる予定だとしたが、双葉町が鼻血の症状は多くないと主張しているため、「被ばくとの関係については発表できないのではないか」ともした。
一方、岡山大大学院の津田敏秀教授は、最終報告については、まだメドが立っていない状況だと取材に話した。ただ、「鼻血と被ばくは関係ないと政府が言っていることは、科学的な根拠がありません。チェルノブイリでも報告があるわけですから。美味しんぼの騒ぎは、重要な問題だとは思っていないですね」と言っている。
双葉町の健康福祉課では、取材に対し、町が岡山大などに調査を依頼し、調査結果の報告も受けたことは認めた。報告を受けたのは、現職の伊澤史朗町長のときになってからだが、なぜ美味しんぼ側に抗議したのか。こうした点などを聞こうとしたが、「担当者が退職するなどしており、詳しくは当時の書類を調べないと分からない」とし、5月16日夕までに回答はなかった。
町の秘書広報課では、「鼻血を出す人がそんなに大勢いないことは、保健所の聞き取り調査で分かっています。岡山大などからの報告を受けたわけではありませんが、町民の健康管理については今後検討していきます」と話している。