橋下徹大阪市長(44)が、共産市議の態度が悪いと「若造」呼ばわりして議会が紛糾する騒ぎがあった。果たして、どんな態度を取っていたのか。
市長選で無駄遣いをしたと、共産党市議団の北山良三団長が2014年5月14日の一般質問で反省を求めたときだ。「共産党の中には、若造議員が1人いるんですよ」。橋下徹市長は、答弁でいきなりこう切り出した。
「エヘラエヘラ、人を小バカにしたような笑い顔」
「そんなガキじゃないのに、にらんできたりとかね。エヘラエヘラ、人を小バカにしたような笑い顔やって、何言ってんだか分からないように、何かブツブツブツブツ聞こえないこと言ったりね」
さらに、橋下市長は、この議員とは今まで論戦をしたことがなく、こういうことは非礼に過ぎると指摘した。そして、「その若造をちゃんと教育してもらわない限りは、ちょっと非礼な態度で返させてもらいたい」と言い放った。
無駄遣いの指摘については「反省していない」、大阪都構想や中小企業対策について聞かれても「しっかりと進めていきます」。これに対し、木下吉信議長が北山氏の質問に誠実に答えるよう2度も注意したが、橋下市長の「一言答弁」が繰り返された。
そこで、木下議長が休憩を宣言し、1時間40分も議会が中断した。報道によると、野党からは「事実上の答弁拒否だ」との非難が上がり、橋下市長は、若造発言を撤回し、共産党側は、批判を受けた小川陽太議員(36)を注意・指導して、ようやく議会が再開された。
小川議員と論戦したことがないという橋下市長だが、ネット上では、小川議員が橋下市長に質問している動画が上がっていた。12年2月24日の財政総務委員会だといい、小川議員は、新人らしくたどたどしい言い方で「お答え願いますか?」と尋ね、橋下市長がそれに丁寧に応じていた。それ以降については、小川議員が橋下市長にどんな態度で臨んでいたのか、詳しくは分かっていない。
「市長の言っていることは、まったく主観的」
橋下徹市長の若造発言について、ある野党市議は、こう言う。
「小川議員は、今回の議会では、問題ある態度は取っていないと思います。ヤジなどは、あまり酷いときは議長から注意されるが、当たり前のようにありますよ。僕らも文句があるときは言いますから。市長が威嚇しようが、議会としては変わりませんよ。ああいう市長の態度は、ちょっと子供じみていると思いますね」
共産党市議団の北山良三団長も、取材に対し、議員がヤジを飛ばしたりにらんだりすることはあるとして、こう説明する。
「市長のおっしゃっていることは、まったく主観的なことですよ。見る人によって、受け止め方が違うわけですから。そんなことを持ち出すこと自体、いかがなものかと思いますよ。しかも、選挙で選ばれた議員を相手に、『若造』と言うなんて。正式に問題にするなら、議長に申し立てるべきですよ」
なお、小川陽太議員の態度について、非公式な形では言われたことがあるかもしれないものの、議長から注意されたことはないという。今回については、注意・指導と報じられたが、小川議員と節度ある態度を確認し合っただけだと言っている。
これに対し、橋下与党である大阪維新の会市議団の美延映夫幹事長は、こう反論した。
「市長は今まで、小川議員がヤジを飛ばしたり小バカにした笑いをしたりするとして、何度も止めさせてほしいと言っていますよ。今回は、堪忍袋の緒が切れたのでしょう。発言を取り消していますし、問題はないと思います。市長はよく答弁する人で、威嚇しているというのは違うと思いますよ」
橋下市長からは、議会事務局に対しても、小川議員を注意してほしいと伝えてあったとした。
議会事務局の議事担当者は、「議長が小川議員を正式に注意することはなかったと思います。市長からも文書での注意要請はありませんが、口頭で話があったのかについては分かりません」と取材に答えた。