財務相の諮問機関である財政制度等審議会が、国内総生産(GDP)の約2.3倍にふくらんでいる国の借金残高を2060年度に2倍までに抑えるため、どれだけ財政収支を改善する必要があるかを試算したところ、名目経済成長率が年率3%で続くという楽観的な見通しでも、21年度に約57兆円を改善しなければならないことがわかった。2014年4月28日に明らかにした試算では、57兆円を消費増税による歳入増だけで達成しようとすると、消費税率を30%近くまで引き上げなければならない計算になるという。
57兆円は、2021年度に国内総生産(GDP)の8.9%にあたる。財政審では「社会保障費を厳しく切り込んでいかないといけない」などの意見があった。
一方、甘利明経済財政・再生相は5月15日の1~3月期のGDP速報値の発表後に記者会見し、年末にも判断するとみられる消費税率10%への引き上げについて「実際に4~6月の(反動減の)数字がどれくらいに出てくるのかということ、7~9月がどれくらい力強い回復を示すかを慎重に見定める必要がある」と述べた。
14年1~3月期のGDP速報値は、実質ベースで年率5.9%だった。