米Googleは検索エンジンでサイトを表示する順番を、これまでの他サイトからのリンク数による評価から、コンテンツの質を重視したものに移行していく。「誰が書いたのか」についても考慮されるようになり、ウェブの世界に与える影響は少なくなさそうだ。
サイトに技術的な手を加えて検索エンジンへの最適化(SEO)を扱う業者にも大打撃となるのでは、という見方が出ている。
専門家が書いたページを判別可能に
同社のマット・カッツ氏は2014年5月5日、YouTube公式チャンネル「Google Webmasters」で、サイト評価システムに関するユーザーからの質問に答えた。バックリンク(被リンク)の評価からコンテンツ自体の質の評価に移行し、「バックリンクの重要性は失われるのか」という質問だ。Googleでは「パンダアップデート」や「ペンギンアップデート」呼ばれるアルゴリズム変更をたびたび実施してきた。その直後には不自然なリンクを貼られたサイトのページランキングは急落している。
質問に対してカッツ氏は、バックリンクはサイトやページの評判を評価するため今後何年も利用されるとしながらも、「そのうち重要性はやや薄れる」と答えた。同社は検索で表示されたページがユーザーのニーズに合致することが大事だと考え、専門家が書いたページを判別できるよう取り組んでいるという。
たとえ誰が書いたのかがわからなかったとしても、自然言語処理技術でコンテンツの質を見極める。将来的にはSFテレビドラマ「スタートレック」のような、コンピューターとの対話型の検索の実現も目指しているという。
カッツ氏の発言が「SEO業者全滅か!?」と日本で紹介されると、
「これは大きな影響を与えそう」
「ますます検索に頼らない流入を考えないとね」
「グレーゾーンのseo対策をしていた業者は今後は厳しくなっていくのかな」
とツイッターなどで騒ぎになった。
また、「何を言ったかより誰が言ったかが重視されていくだとすると、わたしの好きなインターネットとはちょっと違う…」「著名人の言葉だけをありがたく拝聴するメディアに成り下がって堕落していくのか。。。」と残念がる意見も書き込まれた。
「誰が書いたかにいきなり傾くわけじゃない」
だが、都内のSEO対策企業に勤める男性によると、業界が突然全滅するような事態ではないという。「外部リンクによる評価がなくなるわけではないし、Googleが以前から言っていたことを改めて発表しただけです。流れは変わっていません」と冷静に話す。被リンクを不正に増やしたサイトにペナルティを下すなど、コンテンツそのものを重視する姿勢をGoogleは以前から打ち出していた。
また、生活情報サイト「nanapi」の古川健介社長もフェイスブックで、
「今の時代にPageRank(被リンク)が絶対的なSEOの評価ではなくて、単なるシグナルの一つであるのと同じように、誰が書いたかにいきなり傾くわけじゃないと思う」
と発言している。
「被リンクの時代から、誰が書いたかの時代に!というほど、シンプルなロジックではない。時代の流れにあわせて、相対的に、被リンクによって優れたコンテンツを決めるよりも、よりいい方法がある、となっただけ」と見ている。