中国では、しばしば日本や米国企業がメディアの批判を浴びるが、今回はセブン-イレブンがターゲットになったようだ。現地紙の報道によると、北京市内の店舗の流し台で、店員が髪を洗い、洗濯をしていたというのだ。
一見すると、ツイッターなどで不適切な行動を投稿して非難を受ける、いわゆる「バカッター」にも見えるが、コンビニのビジネスモデルの問題点を指摘する新聞もあり、さらに批判的な報道が増える可能性もある。
共産党の下部組織系列「法制晩報」記者が潜入取材
問題が起きたのは、北京の建外日壇路店。北京を代表する繁華街の王府井から東に4~5キロほど離れた場所にあり、大使館街としても知られている。
共産党の下部組織が発行する「北京青年報」系列の夕刊紙「法制晩報」の記者が2014年2月から潜入取材を続けており、記事は5月9日付の紙面に掲載された。
記事では、店員が食器や食べ物を洗う流し台で髪を洗い、洗濯をしていたことを写真と動画つきで報じた。それ以外にも、調理担当者の爪が長かったり、健康証明書を携帯していないといった違反行為が明らかになったという。
5月10日には、食品医薬品局が、問題が起きた店舗の営業停止と、北京市内の全店舗の衛生状態を自主検査するように指示した。
5月12日に法制晩報が報じたところによると、セブン-イレブンの運営会社は以下のコメントを寄せ、陳謝した。
「(問題が起きた)日壇路店は整備のためにすぐに閉鎖し、店員への訓練・教育を改めて行います。全面的にリニューアルした後にお客様にお目にかかることを願っています。お客様にご迷惑をおかけすることをお詫びいたします」
問題を起こした従業員は、調査が終了次第解雇される見通しだ。
新華社通信「セブン-イレブンのダブルスタンダードに驚いている」
この問題は、法制晩報の記事を追いかける形で複数の中国メディアが取り上げており、いずれも日本に批判的な論調だ。新華社通信は5月12日、ネット上の、
「国際的企業は、すべての店舗で同じ衛生基準を実行すべき」
といった声を紹介。記事では、この書き込みをした人について、
「セブン-イレブンのダブルスタンダードに驚いている」
と表現している。
「北京商報」は5月12日、業界関係者の話として、
「日本や台湾では加盟店(フランチャイズ)がメインだが、コンビニの中国での発展は未成熟なので、合格する店主(加盟する人)は比較的少ない。出店を急ぐあまり、衛生管理が行き届かなくなったのでは」
と解説。コンビニのビジネスモデルの根幹でもあるフランチャイズ制度に疑問を呈した。
中国メディアと日本企業をめぐっては、中国中央テレビ(CCTV)が14年3月にニコンの一眼レフカメラ「D600」について「画像に黒い点が映り込む欠陥商品」などとネガディブキャンペーンを行ったばかり。今回のセブン-イレブンについても、中国メディアの続報に注意する必要がありそうだ。