「やさい工場」は2025年には1500億円市場に成長
富士通のように、異業種からの農業参入は年々増えている。JFEホールディングスやオリンパスをはじめ、電子機器メーカーや照明、鉄鋼、板金などの製造業が工場跡地を「植物工場」に転用するケースは少なくなく、リーフレタスなどの葉物野菜やトマトなどを生産している。
家電大手のシャープも2013年9月、アラブ首長国連邦のドバイにある販売会社の敷地内に、イチゴを栽培する「植物工場」の実験棟を設置。「植物工場」の事業化に向けた実証実験を開始した。
自らが農業に参入しなくても、パナソニックの「アグリ・エンジニアリング事業」や、デンソーのように農業支援を事業化する企業も増えている。
矢野経済研究所の「国内の植物工場市場に関する調査」(2013年7月~12月調べ)によると、2025年の植物工場の市場規模は2013年の約6倍にあたる1500億円市場に成長すると予測。そのうち、富士通の「低カリウムレタス」の工場のような、太陽光を遮断し人工光で温湿度、光強度などを制御する「完全人工型工場」の市場規模は2013年が34億円で、25年には約13倍の443億円となると見込んでいる。
現在の生産品目はリーフレタス類が中心だが、今後は生鮮機能性野菜や健康食品などの原料生産、イチゴや結球レタスなどの生産が進むとみている。