商品の購入ごとポイントがたまり、他の提携企業でも使える「共通ポイントサービス」が広がっている。リクルートホールディングス(HD)は2014年4月30日、同社が展開する「リクルートポイント」を三菱商事系の「Ponta(ポンタ)」と来春にも統合すると発表した。
楽天も11社と提携し、「楽天スーパーポイント」の共通ポイント事業に秋にも参入する。老舗の「Tポイント」を含め、顧客の囲い込み競争が激しさを増しそうだ。
楽天はRポイントカード
リクルートポイントは、宿泊予約サイト「じゃらんnet」や、美容院の予約サイト「ホットペッパービューティー」、飲食店などの共同購入サイト「ポンパレ」などで利用できるサービスで、会員数は1000万人を超えるといわれる。
ポンタは、コンビニエンスストアのローソンをはじめ、居酒屋「和民」、昭和シェル石油のガソリンスタンド、DVDレンタル店のゲオなど、73社98ブランドで利用可能だ。会員数は6000万人を超える。
ポンタを運営するのは三菱商事系のロイヤリティマーケティング(LM)。リクルートHDは夏にもLHの第三者割当増資を引き受け、資本参加する。夏にも相互交換サービスを開始し、来春にもポンタに一本化する。新たに規約を定め、本人の同意を得た範囲内でポイント利用情報を管理するという。
楽天は、「楽天市場」などで商品を購入するたびに付与される「楽天スーパーポイント」を実店舗にも広げる。楽天会員は現在約9000万人。出光興産や、大丸・松坂屋、サークルKサンクス、飲食店のプロント、ミスタードーナツなどで秋から付与・利用が可能になる。これまでもクレジットカード「楽天カード」や、電子マネー「楽天Edy」での実店舗での決済時に、スーパーポイントが付与されてきたが、今回新たに「Rポイントカード」を発行し、実店舗での利用を促す。
ネットとリアル店舗の統合
共通ポイントサービスは、「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)系の「Tポイント」が老舗で、2003年に共通化が始まった。TSUTAYAをはじめ、ファミリーマートやスーパーのマルエツ、ファミリーレストランのガスト、ENEOSのガソリンスタンドなどで利用でき、日常利用のある会員数は約4800万人という。昨年はヤフーと提携。ネット通販「ヤフーショッピング」で貯めたポイントを実店舗で利用するといった幅広い使い方が可能になった。
3陣営に共通するのは、「ネットとリアル(店舗)の融合」だ。ポンタは、小規模なネット事業者が参加していたが、リクルートほどの大手は初めて。Tポイントも、ヤフーとの提携が大きなセールスポイントになっている。運営会社の「Tポイント・ジャパン」は、CCCが85%、残りはヤフーが出資している。楽天は、2社とは逆に、ネットからリアルに攻め込む。
ネットとリアル双方の購買動向を把握できれば、ターゲットを絞った販売促進や、商品開発が可能になる。ポイントを利用できるか、できないかが店を選ぶ際の材料の一つにもなっており、3陣営を中心とした顧客の囲い込み競争が過熱化しそうだ。