「浜岡原発なくても黒字」 再稼働目指す中部電力の苦しい立場

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南海トラフ地震も想定し、海抜22メートルの防波壁設ける

   値上げしても赤字から抜け出せず、財務基盤強化のために北海道電力が500億円、九州電力が1000億円、それぞれ日本政策投資銀行から出資を受けることを4月30日に発表したことと比べても、中部電の財務基盤はしっかりしている。北海道電や九電の自己資本比率は5~8%程度と電力会社の健全性の目安である15%を大きく下回る「危険水域」(経済産業省幹部)にあるが、中部電の場合「(3期連続赤字などで)大きく毀損した」(水野社長)と言ってもなお20%以上ある。

   もちろんアベノミクスによる円安でこの間、燃料調達コストがかさんだが、その円安は一巡した。浜岡原発を動かさない分の火力発電の燃料コストはかかるが、半面、2019年ごろには米国から安価なシェールガスが輸入できる見込みも立ってきた。シェールガスこそ、中部電が先見性を持って取り組んでテーマで、その果実が目の前だ。

   こうした中、中部電は浜岡原発の再稼働に向けて安全審査を原子力規制委員会に申請している。南海トラフ巨大地震も想定し、海抜22メートルの防波壁などを設ける安全対策工事費は総額3000億円規模に上り、「本気度」を示す。原発一基稼働が1000億円の利益につながるだけに再稼働を熱望するわけだ。しかし、原発なしで黒字転換を見込むなか、大金をはたいて再稼働させることが「経営の基盤を固める上でも必要」(水野社長)との見方に疑問を呈する向きもある。

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