3Dプリンターで拳銃作った男を逮捕 だれでも作れるものなのか

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   3Dプリンターでプラスチック製の拳銃を作っていたとして、神奈川県内の湘南工科大職員の男が銃刀法違反(所持)の疑いで逮捕された。設計図をダウンロードして作ったというが、そんなに簡単に作れるものなのだろうか。

   引き金を引くたびに、乾いた音が響き、火花と煙が上がる。逮捕された居村佳知容疑者(27)は、こんな動画をユーチューブなどにアップして自慢していた。

海外サイトから設計図をダウンロードしていた

   神奈川県警などでは2014年4月12日、拳銃の設計図データも載せた動画などの情報を元に、居村容疑者の自宅を家宅捜索したところ、プラスチック製の拳銃のようなもの5丁を見つけて押収した。県警科学捜査研究所で鑑定した結果、実弾を装填した場合、このうち2丁に殺傷能力があることが分かった。自宅からは弾丸は見つからなかったが、鑑定で厚さ2.5ミリのベニヤ板に向けて撃ったところ、10枚以上を貫通したというのだ。3Dプリンターで作った拳銃が押収されたのは、国内で初めてだといい、武器等製造法違反の疑いでも捜査している。

   調べに対し、居村容疑者は、モデルガンの延長で考えていたといい、「違法とは思っていなかった」とした。しかし、「拳銃と認定したのなら逮捕は仕方ない」とも供述しているという。銃を作った理由については、ツイッターなどで、弱者や女性が身を守るためには銃の所持が必要だとして、「銃を規制する社会に対する挑戦」だと独自の主張をしていた。

   県警の薬物銃器対策課によると、拳銃のうち1丁は、米国の非営利団体が13年5月に設計図をネット上で公開したリベレーターと呼ばれる3Dプリンター銃になる。当時は、日本からも6万件以上がダウンロードされる騒ぎになっており、居村容疑者もダウンロードしていた。

   もう1丁については、リベレーターとは形が違っている。改造して作った可能性もあるというが、まだ調べが進んでいない。動画で火花と煙が上がっていたのは、モデルガンなどで使うキャップ火薬を使っていたからだという。

拳銃の形はできても、機能するには技術がいる?

   3Dプリンターについては、居村佳知容疑者は、組み立て式の外国製品をネット上から約10万円で購入して、拳銃を作るのに使っていた。

   最近は、日本の量販店などでも、安く買えるようになっているが、設計図さえあればだれでも拳銃を作れるものなのか。

   この点について、神奈川県警の薬物銃器対策課では、一般の人でも作れる可能性があることを取材に認めた。ただ、形はできても改良しなければ使えない可能性もあり、拳銃にするには技術がいるかもしれないとしている。

   3Dプリンターの業界関係者も、取材に対し、「形はできるかもしれませんが、機能するかどうかは別です。火薬を使わないといけませんので、難しいと思います」と指摘した。

   別の関係者は、拳銃として使えるようにするには、実弾のほか、「発砲する仕組みの工夫が必要でしょう」と話す。つまり、改造がうまくいけば、殺傷能力を持つ恐れがあるかもしれないというわけだ。

   市販の3Dプリンターは、拳銃作製のような犯罪目的に使われることを防ぐにはまだ不十分だともしており、「今後は、そのことが課題になると思います」と言っている。

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