韓国の大型旅客船セウォル号の沈没事故をきっかけに、利益を理由に安全を軽視する韓国社会の風潮を次々に韓国メディアが報じている。その内容は高速鉄道から原発まで多岐にわたるが、中でも特徴的なのが2013年にサムスン関連会社で起きた爆発事故だ。
本来よりも品質の低いボルトを使用したことが事故の原因だが、ほんのわずかの「出し惜しみ」が重大な事故を招いたことになり、全く割に合わない事態を招いている。
朝鮮日報が「安全後進国、根元から変えよう」と題して連載
セウォル号では利益を優先するあまり過積載が常態化しており、韓国当局の捜査本部は、運行会社が13年3月からの1年間で、過積載で少なくとも29億6000万ウォン(約2億9000万円)の利益を不当に得たとみている。
セウォル号の事故が起こる前の段階でも、高速鉄道(KTX)のブレーキ系統の部品や原発の部品に品質基準に達していない不良品が納入されていたことが明らかになっている。いずれのケースも、品質が基準に達していることを示す証明書を偽造するなどして、検査の目をすり抜けていた。こういった構造的な問題が、事故を機に改めてクローズアップされている。
そのひとつが、大手紙の朝鮮日報が「安全後進国、根元から変えよう」と題して行っている連載だ。5月8日の紙面の1面では、サムスンの関連工場にまつわるエピソードを取り上げた。
事故は2013年7月26日17時頃、韓国南東部の蔚山(ウルサン)にあるサムスン精密化学の敷地内で起きた。ポリシリコンの生産プラントを建設中、1400トン入りの水タンクが爆発。3人が死亡、12人が負傷した。