高橋洋一の自民党ウォッチ
残業代ゼロ制、多くの人には無関係 「年収1000万円以上」は数パーセント

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まず「官より始めよ」

   しかし、その場合、本来の「ホワイトカラー・エグゼンプション」は、一定の人に対する労働時間の規制緩和で、残業という概念がなくなるので、「残業代ゼロ」というのは正しい表現ではない。

   ちなみに、この問題では世論調査をあまり目にしない。というのは、設問の中に「あなたは(年収1000万円以上の)適用除外の対象者ですか」を入れたら、95%以上の人が対象者でないと答えるはずで、一般の世論調査にはなじまないからだ。

   また、「残業代ゼロ」といわずに、同じ効果をもつ別の表現にしたら、どう思うだろうか。例えば、「年収1000万以上の人に対し、時間外労働について所得税課税100%」といえば、多くの人は自分に無関係と思うだろう。

   それでも、どうしても心配だという人に対して、まず公務員で実施してから民間にも適用するといえばいい。国は、公務員の雇用主としての立場があるのだから、まず「官より始めよ」というのは、政策実施の上でも合理的な話だ。その中で、ジョブ・ディスクリプションを含め雇用関係を文書化すれば、民間も助かるはずだ。

   それでも、「ホワイトカラー・エグゼンプション」に反対する人は残る。一つは、年収1000万以上の人が多く存在するマスコミや金融関係者らだ。その人たちは、「ホワイトカラー・エグゼンプション」が導入されると本当に損をする。もう一つは、雇用政策で居場所を失った左派識者だ。彼らが批判していた金融緩和によって、失業率が低下し賃金が上昇してしまったので、メンツ丸つぶれで、それからの目くらましのためだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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