各地で憲法を考えるための集会が開かれた2014年5月3日、インターネット上には「戦争ラブな男とはHしない女の会」なるものが登場した。
「私たちは戦争ラブな男とはHしません。私たちは、戦争への道を作り、武器輸出を推進する政治家・企業家・ビジネスマン、あるいはその政治家を支持する男性たちに徹底的に抗議します」
「集団自衛権の行使を容認しようとしている安倍内閣を支持しないこと」
憲法記念日に立ち上げられた公式ブログには、こんな「力強い」主張が綴られていた。ブログによると同会は、武器輸出を原則禁止にしてきた「武器輸出三原則」が撤廃されたことを問題視し、また、安倍政権が現在進めている集団的自衛権の行使容認についても「戦争につながる道」として反対の立場を取っている。その上で、こうした動きを止めるべく、女性たちに向けて「セックス・ストライキ」を呼びかけているそうだ。
入会方法は、公式ブログに掲載されている「会員証」をダウンロードして携帯するだけ。会員となった女性は、男性からセックスを求められた際に、この会員証を必ず提示しなければならない。そして、「集団自衛権の行使を容認しようとしている安倍内閣を支持しないこと」「武器輸出等のビジネスに関わっていないこと」の2点を確認し、相手男性がこれに反する場合はセックスをしてはならない。クリアしている場合、セックスするか否かは「会員の判断にゆだねる」(会則第3条)という。
これがインターネット上で注目を集めると、「素晴らしい理念であると思います!」「恋愛では常に男は弱者だからな」などと理解を示す声が一部からあがったものの、「『まず俺がいつお前とセックスしたいと言った?の会』を設立しました。会員募集中」「そのストライキとやらが効果を発揮するほど魅力的な女性の集いなのか結構疑問ですよね」「セックスを人質に取らなくても普通に論争すればいいんじゃないですかね…?」などと疑問の声が相次ぎ寄せられた。
コラムニストの小田嶋隆さんもツイッターで「戦争ラブな男とはHしない女の会とかまぎらわしいこと言ってないで従軍いやん婦って言えよ」「自分がHをするとかしないみたいなことで世界を変えられると思いこんでる女の会とか」などと突っついてみせた。
都知事選では舛添氏をターゲットにしたストも
不評を買っている「戦争ラブ」セックス・ストだが、2014年2月の都知事選前には「舛添に投票する男とセックスしない女達の会」が登場し、話題になった。過去に「女は生理のときは異常」などの問題発言があった舛添要一現都知事の当選を防ぐためのもので、賛同者リストには1400人以上の女性が名を連ねていた。なお、「舛添~」公式ツイッターによると、両会の運営者は別人のようだ。
「セックス・ストライキ」といえば、古くは古代ギリシャの喜劇「女の平和」に描写があり、アテナイとスパルタの女性たちが夫とのセックスを拒み、戦争をやめさせるという筋立ては有名だ。日本ではなじみがないが、現代においても海外ではそれほど珍しいことではないようで、ニューズウィーク日本版によれば09年にはケニアの女性団体が政治対立を止めるために、11年にはコロンビアの女性たちが道路整備を求めてセックス・ストを行ったという。また、最近ではウクライナ人女性グループがロシア人に対するストをFacebook上で呼びかけ、注目を集めた。