「人倫も良心も知らず、事大と売国の化身」 北朝鮮がセウォル号事故で朴槿恵氏こき下ろす

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   連日のように韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する激しい批判を展開している北朝鮮の国営朝鮮中央通信が、2014年5月5日、大型旅客船「セウォル号」沈没事故について、朴政権がもたらした「特大型の悲劇的大惨事であり、人災」だとする論評を配信した。

   北朝鮮は、事故発生から間もない時期に韓国が米国のオバマ大統領の訪韓を受け入れたことについて批判を強めてきたが、事故と朴大統領とを直接結びつけて批判するのは初めてだ。

「朴槿恵が存在する限り惨事が再び起きない保証はどこにもない」

朝鮮中央通信が配信した論評。日本語でも配信されている
朝鮮中央通信が配信した論評。日本語でも配信されている

   論評は、「『セウォル』号惨事を招いた張本人は誰か」と題して配信され、冒頭で事故の原因を、

「結論から言えば、今回の旅客船沈没事故は徹頭徹尾、朴槿恵『政権』の反人民的政策と無能力、無責任感がもたらした特大型の悲劇的大惨事であり、人災である」

と断じた。さらに、韓国政府の救助対応が後手に回る反面、政府側が船長や船会社への非難を強めたことを、

「朴槿恵『政府』が今回の旅客船惨事に関連してしたこととは、青瓦台に行く被害者家族らの前を遮ったことだけである」

と皮肉り、

「哲学も政治も知らない本当の無知、人倫も良心も知らない不倫児、事大と売国の化身である朴槿恵が存在する限り、第2、第3の『セウォル』号惨事が再び起きないという保証はどこにもない」

と切り捨てた。

   この論評では、事故発生から間もない段階でオバマ大統領の訪韓を受け入れたことについても、

「人民の涙で宴会を催して上司にあらゆる醜態を演じた」

と批判している。

4月末には朴大統領を「醜悪な米国の慰安婦、汚らわしい民族反逆売春婦」と罵倒

   実は北朝鮮は、オバマ大統領訪韓については以前から批判を繰り返している。その中には、かなり激しい表現が含まれているものもある。例えば4月27日付の祖国平和統一委員会の談話では、

「少しでも人倫道徳があるなら、オバマの南朝鮮訪問は延期されたり、保留されたりすべきであった」

と主張。にもかかわらずオバマ大統領の訪韓が実施されたことから、朴大統領のことを、

「妓生(キーセン、芸者)の旦那に身を任せて他人を謀略にかけて害するずる賢い売春婦」
「極悪な事大売国奴、醜悪な米国の慰安婦、汚らわしい民族反逆売春婦」
「朴槿恵の汚らわしい体に流れる血は、事大・売国、同族対決の黒い血だけ」

などと人格攻撃ともとれる表現で罵倒している。さらに、父親の朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領と同様に暗殺される可能性すら示唆している。

「朴槿恵の振る舞いが『勝共統一』と『滅共統一』を叫んで上司と民心の両弾丸に撃たれて悲惨な非運の死を遂げた朴正煕(編注:朴正煕元大統領は米国の要請に応じて韓国軍を南ベトナムに派兵し、その後暗殺された)と同じであり、今後、その運命もほかにはならないということは言うまでもない」

   この談話をめぐっては、4月28日には韓国統一部が「常識以下の言動をやめるべき」と非難したほどだ。だが、この談話ですらセウォル号沈没事故の原因には踏み込んでいなかった。

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