今年のゴールデンウィークは休みが短く、近場の観光地が注目を集めた。開業2周年を間近に控える東京スカイツリーもそのひとつだ。ところが、2013年度の来場者数は想定を下回る数字に終わっていたことが明らかになった。
今なおチケット売り場に長蛇の列ができる人気ぶりからすれば、ちょっと意外な結果だ。いったいなぜだろうか。
強風でエレベーターが停止、悪天候だと展望台が「雲の中」
連休前の2014年4月19日、記者は家族3人でスカイツリーを訪れた。入場券を求めて15時過ぎに並び始めたが、土曜日とあってか売り場には先頭が見えないほどの人々が並んでおり、当日券を入手するまで1時間以上はかかった。ようやく登った展望台もかなりの人出で、人垣をかき分けながらでないとなかなか景色を眺められないほどだった。
観光スポットとしての人気の高さを実感したが、一方で「スカイツリー」をキーワードにツイッターを検索すると、こんな「悲鳴」が少なからず確認できる。
「せっかくスカイツリーに行ったけど、19:30を持ちまして中止致しますとのこと 残念すぎるわ」
「登るチケット買うのにならんでて、一時間ならんでたら登れなくなりましたーって言われた」
「しかし強風でスカイツリー登れなかったー!」
さらにこんな数字が浮き彫りとなった。2014年4月30日に発表されたスカイツリーの2013年度来場者実績は約619万人で、想定を25万人下回ったというのだ。理由として挙げられているのが、「営業中の急激な天候変化、強風」の多発だ。
開業当初から、スカイツリーの弱点が天候であることはしばしば指摘されてきた。特に構造上「風」は難敵で、展望台に登るために不可欠なエレベーターは、揺れによる事故を防ぐため強風時は運行できない。開業初日には、早くも暴風雨のためエレベーターを一時停止する事態に陥り話題を呼んだ。
NHKの報道によれば、2013年度中に天候不良などのため展望台の営業が休止された日は、年間40日で、前年度より15日多かった。この15日分の「そろばん違い」が、来場者数が想定を下回った主な理由だという。
それにしても年に40日ということは、おおよそ9日に1日は展望台に登れない日があるということになる。またその高さが災いし、悪天候時には展望台がすっぽり「雲の中」ということも。展望スポットの宿命とはいえ、その魅力は天気に大きく左右される。実際に記者が訪れた日もくもり気味だったため、富士山など遠くに見えるはずの名所はほとんど確認できなかった。