マンション市場に「消費税ブレーキ」あるか 減税や「すまい給付金」、効果どこまで

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   消費税率が8%になって1か月が過ぎて、景気の減速が気になるところだが、経済専門家らは楽観的にみているようだ。

   しかし、2013年まで景気を支えてきた住宅市場では減速の兆しが出ている。国土交通省が2014年4月30日に発表した3月の新設住宅着工戸数で、マンションなどの分譲住宅は8.5%減の1万8468戸。2か月連続のマイナスと、建設面ではブレーキがかかっているのだ。

数字上の「減少」 じつは「余裕の表れ」だった!

マンション市場に「消費税ブレーキ」はあるのか?
マンション市場に「消費税ブレーキ」はあるのか?

   とはいえ、マンションの市場動向自体は、4月の消費増税の影響はあまりみられない。

   不動産経済研究所によると、3月の首都圏マンションの発売戸数は、前年同月に比べて9.7%減の4641戸だった。月間契約率は前月に比べて0.8ポイント減の79.8%。前年同月比では2.3ポイントの大幅ダウン。それでも、「現状では、あまり心配していません」(企画調査部)という。

   「3月は、売り手が販売価格の値決めに慎重だったこともあって、発売戸数が減りました。(契約率が落ちたのは)供給減にともない、買い手側も様子を見たことがあります」と、説明する。

   つまり、売り手は「あわてて売らなくとも(買い手は)待てる」と読み、買い手も「いい物件はこれから、まだ出てくる」と、双方ともあまり消費増税を気にせず、余裕をもって構えていたといえるわけだ。

   2014年4月の首都圏マンションの市場動向について、不動産経済研究所は、供給量を前年同月に比べて約1割増の4500戸と予測。そのうちの「75%程度は売れたのではないか」とみている。「ここ最近のようすから、住宅ローン減税や『すまい給付金』の効果もあった」という。

   不動産調査の東京カンテイも、「4月は増税の影響で、多少は減るかもしれませんが(税率が5%に引き上げられた)1997年のようなことはありません」(市場調査部)と楽観的だ。

   みずほ証券チーフ不動産アナリストの石澤卓志氏は、「国交省は供給減の原因を用地不足とみているようですが、湾岸エリアなどをみるとそのようには思えません。売り手も買い手も(消費増税の影響を)まだ様子見をいったところ。慎重な姿勢にあります」と話す。

   石澤氏は、「このゴールデンウイーク(GW)のモデルルームの人出に注目」という。「入場者が多ければ、販売会社は消費増税の影響が軽微とみて供給量を増やしてきますし、逆に入場者が少なければ、さらに慎重になるでしょう」とみている。マンション業者にとっては、このGWが一つの「試金石」のようだ。

駆け込みで反動減が気になる

   そんなことだから、当初一部で密かに期待されていた、増税後の「大幅値引き」の話などは「まったく聞きません」(不動産経済研究所)という。

   ちなみに、首都圏の新築マンション1戸あたりの平均価格は5251万円(14年3月時点)。前月比で151万円(3.0%)上昇し、前年同月との比較では408万円(8.5%)も上昇している。

   たしかに、買い手側にしてみると消費増税の影響はほとんど感じられない。4月以降に8%の消費税でマンションを購入したとしても、住宅ローン減税の拡大や新設された「すまい給付金」で、5%の消費税とほぼ変わらない負担で購入できるからだ。場合によっては負担が軽くなることもあるという。

   しかし、だからといって消費増税の影響は本当に軽微なのだろうか――。ニッセイ基礎研究所は2014年度の住宅着工戸数(戸建てとマンションの合計)が、13年度に比べて約14%減の85万戸になると、厳しめに予測する。

   減少の原因は「消費増税」。駆け込み需要に沸いた13年度の反動が大きいとみているのだ。住宅は「一生に1度の大きな買い物」という人がほとんど。「昨年買った人が今年買うことは考えられません。つまり買う人が少なくなっているのだから、減少します」と、経済研究部の斎藤太郎氏は説明する。

   ニッセイ基礎研究所によると、1997年度の消費増税時は前年比17.7%減の大きな落ち込みだった。

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