ENEOSなどライバル各社も新ハイオクを開発か
昭和シェル石油が7月に発売する新ハイオクは「Shell V-Power」で、「現行のピューラの洗浄性能を満たしながら、直噴エンジンなど最新の自動車技術にも適応する新たな清浄剤を採用した」という。同ブランドのハイオクは現在、海外66か国で販売されている。昭和シェル石油は新ハイオクの具体的な性能を明らかにしていないが、現行ピューラやヴィーゴを上回るとみられる。こうなると、ENEOSはじめライバル各社も新ハイオクを開発してくる可能性は十分にある。
高性能ハイオクガソリンには面白いエピソードがある。かつて三菱自動車が2000年代初頭、パジェロでダカールラリー(かつてのパリ・ダカールラリー、通称パリ・ダカ)に参戦していた時、三菱チームが発売直後のヴィーゴを使用しようとしたところ、世界自動車連盟(FIA)にストップをかけられたという。理由は「ヴィーゴの燃費が他チームのハイオクに比べ優れていたから。パリ・ダカで3%燃費が違うと、トータルではものすごい差が出るため、競技では使用が認められなかった」(石油元売り関係者)という。この裏話はENEOSにとっては名誉なことで、ガソリンによってクルマの性能が異なる現実を物語っている。
実際にハイオクを市販車に使用した場合はどうか。各社とも「高性能清浄剤がエンジン内部の汚れを減らすため、エンジン本来の性能を引き出し、燃費や加速の向上が期待できる」と、口をそろえる。
たかがガソリン、されどガソリン。基本性能が同じレギュラーなら迷う必要ないが、ハイオクとなると話は別だ。気持ちよい加速を楽しみたいクルマ好きはもちろん、少しでも燃費を抑えたいハイオク仕様車のユーザーなら、ハイオクガソリンの違いを試してみるのも一興だろう。