HVの「現地化」を進める
VWやGMなど主要メーカーが、大幅増産など中国でさらなる拡大策を打ち出すなか、トヨタとしてもこれ以上の地位低下は避けたいところ。反転攻勢のカギを握るのはHVなどの環境技術となりそうだ。中国で微小粒子状物質「PM2・5」による大気汚染が社会問題となっていることも追い風となる可能性がある。中国政府がHVを購入補助対象とするのではないか、と見られているからだ。
トヨタは2015年、カローラのHVモデルを投入すると同時に、HVの「現地化」を進める方針だ。トヨタは2005年からHV「プリウス」を現地生産しているが、基幹部品をほぼすべて日本から輸出し組み立てている。そのためコストも高く、中国人が簡単に手の届く商品にはなっていなかった。プリウスは中国市場ではほとんど認知されておらず、「充電が必要か」など日本では考えられない質問が販売店などで聞かれるという。
来年からはHV基幹部品の現地調達を進め、なるべく早く5割程度まで現地化させると見られる。江蘇州の研究開発センターで開発した部品を現地の合弁会社で生産する構えで、コスト削減を加速。中国のHV市場はもともとゼロに近く、日本の部品メーカーに大きな痛手ということもない。ただ、海外メーカーの中国市場の浮沈には国際政治情勢という関数も絡むだけに、トヨタが首尾よくシェアを拡大できるかは、予断を許さないのが実情だ。