子宮頸がんのワクチン審議委員がメーカーから講演料 市民団体、メンバーの見直しなど申し入れ

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   市民団体「薬害オンブズパースン会議」(鈴木利広代表)は2014年4月28日、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)を審議している厚生労働省の審議会委員の実に7割がメーカーから講演料などを受けていたとして、委員の構成や規程を見直すよう田村厚労大臣あての要望書を提出した。

   同ワクチンの副作用問題で審議会はメーカー寄りの判断を示しており、疑問の声が高まるのは必至だ。

毎年3000人が死亡する

   HPVウイルス感染が原因と見られる子宮頸がんには毎年、20代、30代を中心に女性1万人がかかり、3000人が亡くなっている。予防する2種類のワクチンは2009年と2011年に販売され、2013年度からは国の定期接種に組み込まれた。ところが、同年9月末までに激痛、脱力、失神などの副作用の訴えが2320件もあり、大きな社会問題になった。

   この問題に対応しているのが厚生労働省の厚生科学審議会のワクチン分科会副反応検討部会と、薬事・食品衛生審議会の安全対策調査会の合同部会。2014年1月、ワクチンの副反応は「心身の反応で、ワクチンの成分が原因ではない」と、メーカー側に有利な見解を打ち出していた。

   ところが、外部の指摘を受け、厚生労働省が調査したところ、合同部会の委員15人のうち11人がメーカー2社のうちの1社または2社から講演料などを受け取っていた。厚生労働省には関連メーカーとの利益関係をあらかじめ申告する規程があったが、4人は申告せず、 2人は金額の少ないランクとして申告していた。受け取っていなかった委員は4人いたが、うち1人は子どもがメーカーに勤務していた。

   同会議は委員の大多数がメーカーから利益を受けている現状では公正な審議が期待できないとして、委員の見直しを要望した。また、審議前に「50万円以下」「50万円超から500万円以下」といったランクだけの報告で、審議中にそのメーカーから金銭を受け取っても報告しなくていい現在の規程の見直し、さらには企業に医師などへの金銭などの支払い情報の公開を義務づける法律を作るよう要望した。

(医療ジャーナリスト 田辺功)

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