王子HDがニュージーランドの紙事業買収 なぜ「産業革新機構」が後押しする?

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アジア市場向けに事業拡大

   少子高齢化で国内の紙需要の先細りという厳しい経営環境に直面する王子HDは、海外事業の拡大に力を入れつつある。2011年にはマレーシアの段ボール加工大手を買収するなど、アジア各国で段ボール事業を展開しているが、これまでは原料として古紙や広葉樹を使うしかなかった。今回の買収で、貴重な針葉樹資源を安定的に調達することが可能となり、アジア市場向けの事業拡大につなげられる可能性は高まる。

   今回の買収に当たって王子HDは「紙・パルプ事業で世界の1位や2位になりたいという戦略ではない」と強調。むしろ「紙にこだわる必要はないというのが一つの方向性だ」と述べ、今後、海外展開を進めるとともに、紙パルプ事業以外にも手を広げ、内需の低迷による先細りを回避する方針だ。

   産業革新機構については、「技術や事業の将来性を見抜く眼力を官製の組織が備えているのか」「市場での公正な競争が損なわれる恐れもある」などの懸念が叫ばれ続けているが、機構自身は「(我々が企業を支援する際の)最大のポイントは、オープンイノベーション(組織の枠組みを越え、知識・技術を広く結集すること)が起きるかどうかだ」と指摘。そのうえで、針葉樹資源に乏しいという弱点を補い、国際的競争力の強化につながる今回の王子HDへの支援に絡み、「こういった現地モデルを作ることで、素材産業の新しい切り口を(他の企業や業界に)示したい」と強調する。素材産業は現在、一様に国内需要減に苦しんでおり、広く素材産業全般に復活のヒントを与えたいというのが狙いのようだ。

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