韓国沈没事故、海洋警察と船会社の癒着疑惑 捜査責任者は元社員で新興宗教信者だった

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   韓国南西部沖で「セウォル」号沈没事故で、捜査指揮や救助活動を担当していた海洋警察庁のイ・ヨンウク情報捜査局長について、捜査対象者との癒着があったのではないかと韓国メディアが報じている。

   事故発生直後の海洋警察の動きについて批判が寄せられるなか、局長がセウォル号の所属する清海鎮海運の実質的なオーナーの企業で以前働いていたことが発覚したのだ。これを受けて国際協力官に配置転換され、事実上更迭された。

博士論文に「兪炳彦会長に心から感謝申し上げる」

   イ・ヨンウク氏は沈没事故が発生した当初、情報収集や捜査に関して中心的な役割を担う地位についていた。2日間にわたり海洋警察による初動捜査を指揮し、救助活動の責任者も担当した。ところが2014年4月30日のテレビ朝鮮の報道で、運航会社の実質的なオーナー兪炳彦(ユ・ビョンオン)前セモ・グループ会長の企業「株式会社セモ」に、かつて勤務していたことが明らかになった。その事実をこれまで明らかにしていなかったという。

   朝鮮日報によるとセモ社に1997年まで7年間勤務し、造船事業部の係長を務めた。会社の研究費支援を受けて造船工学博士の学位も取得した。これを足掛かりに専門分野の特別採用枠で海洋警察に入った。博士論文には「勉学の機会を与えてくれた兪炳彦会長に心から感謝申し上げる」と関係の深さをうかがわせる記述があった。

   また海洋警察に採用される前は、兪氏が指導者を務める新興宗教団体「キリスト教福音浸礼会(通称:救援派)」の信者でもあった。4月25日の「モーニングバード」(テレビ朝日系)に出演した紀藤正樹弁護士によると、強引な勧誘、家族破壊、高額な献金のため韓国内で以前から問題視されている団体だ。信者は20万人ほどでセウォル号の運航会社の社員の9割が信者、会社は宗教団体の財布になっているという。

   この事実の発覚で初動捜査が改めて批判されている。中央日報は船長と乗員に対する調査が徹底されていなかったと指摘した。「合同捜査本部に合流してみると、海洋警察が調査したものは数枚の船長の陳述調書がすべてだった」「内容も『事故の原因はよく分からない』という程度だった」という検警合同捜査本部の検察側の関係者の証言を紹介している。

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