「やらせ」があったと報じられ、上映中止となっていた震災ドキュメンタリー映画「ガレキとラジオ」の山国秀幸エグゼクティブプロデューサーが、2014年5月1日、上映再開に向けて準備を進めていることを文書で明らかにした。「誰からも応援して頂ける映画になることを前提として、再上映の可能性とその新しい内容について慎重に検討に入りたい」として、理解を求めた。
映画は東日本大震災後の宮城・南三陸町で開局した災害ラジオ局「FMみなさん」と町民の姿を描いた作品で、13年4月に公開された。14年3月になり、被災者の女性がラジオを聞いて励まされているという場面について、実際は電波が届かず、撮影班が用意した録音CDを聞いていたことが一部報道により判明。製作陣は「演出」があったことを認めて謝罪し、上映会の中止を申し入れた。
その後、山国氏が「やらせ」報道のきっかけとなった女性に直接会いに行くと、女性は「やらせでは絶対ない」と記事を否定した。記事内容が真意とは違ったこと、再上映を望んでいることなども分かったという。また、映画に出演したラジオ局の元スタッフたちも4月中旬に上映再開を求める声明を発表していた。
報道直後に上映中止を求めていた、ナレーションの役所広司氏にも説明を行い、「東北支援の原点に戻り、新たな映画『ガレキとラジオ』に生まれ変われるよう頑張りましょう」との言葉をもらったという。
山国氏は、現時点で再上映の予定はないとしながらも、「それが果たせるならば、『映画で東北を知る支援』の活動を地道に積み重ね、微力ながら東北、南三陸町に還元していきたいと考えております」と綴った。進展があれば、改めて報告するという。