韓国南西部の珍島付近で旅客船「セウォル号」が沈没した事故で、またもや何らかの演出があったのではないかという疑惑が持ち上がったと、韓国メディアが報じている。
朴槿恵大統領が、犠牲者を追悼する政府合同焼香所を訪れた際に、遺族と見られる高齢女性が大統領と抱擁を交わした、この光景が演出ではないかというのだ。
手には赤いマニキュア
2014年4月30日の聯合ニュースやハンギョレ新聞などによると、朴槿恵大統領は29日、ソウル近郊の安山市内に設けられた政府合同焼香所へ弔問のため訪れた。献花した後、近くにいた喪服姿の高齢女性の手を握り、少し会話をしてから抱擁した。この様子は韓国の各メディアで報じられ、国民の多くは大統領が、おそらくは孫を亡くしたであろう高齢の女性を慰めていると受け止めた。
ところが、女性は警護がはりめぐらされた中でも朴大統領と一定の距離を置いて終始付きまとっていた。誰かが大統領側に押して近寄らせている姿もテレビに映っていた。実は当局側が用意した「演出」ではないかという疑惑が韓国ネチズンの間で騒がれ始めた。手に赤いマニキュアを塗っていたことも「偽遺族」を疑う根拠とされている。
これを受けて遺族の会は、遺族の中でこの女性を知っている人はいなかったということを明らかにした。朴大統領が訪れた午前8時半は、焼香所が正式に開かれる1時間前で、取材陣と遺族以外は本来入ることができないはずなのに、なぜ遺族ではないこの女性が近寄ることができたのか。
疑惑を受けて大統領府側は、
「朴大統領が老女を慰めている写真に対して、演出だという報道があるが、それは事実でない。焼香所に弔問客もおられたし、遺族と一般人が混じっていて、誰が誰なのか分からない状況で、1人が大統領に近寄って挨拶した」
と演出を否定した。ハンギョレ新聞はそう伝えている。
また、京郷新聞は「朴大統領が慰めた女性は、一般弔問客」という記事で、「大統領が肩を抱いて慰めた女性は焼香所の近隣住民であり、弔問に行って大統領に会ったと明らかにした」とし、女性は取材に対して偶然訪れたと主張している。