保存するか検討中の遺構は20カ所以上にのぼる
各自治体の取り組みも、徐々にではあるが進んでいる。宮城県と沿岸15市町は有識者会議を設け、保存対象を絞り込む議論を始めている。この中では、津波の直前まで防災無線で避難を呼びかけた職員ら43人が死亡・行方不明になった南三陸町防災対策庁舎を巡って、町が一度は解体を決めたものの、県が12月に町の方針に待ったをかけ、検討会で改めて議論することになった。
このほか、保存するか否か、検討されている遺構は20カ所以上にのぼるとされる。一度解体してしまえば二度と元に戻せないだけに、住民感情に配慮しながら、遺構としての価値、活用方法や町づくり計画との一体性などを幅広く議論し、住民の合意をいかに形成していくか、自治体の責任は重大だ。