遺構を「解体するべきだ」が47%
悲惨な体験を後世に残し、戒めとしようという「遺構」は、世界にある。ナチスによるユダヤ人大虐殺の舞台となったポーランドのアウシュビッツ強制収容所跡、カンボジア・プノンペン近郊の虐殺記念館(ポル・ポト派による大量虐殺の記録)、原爆投下の被害を伝える広島の原爆ドームや資料館などが代表例だ。兵庫県淡路市の北淡震災記念公園には、阪神・淡路大震災を引き起こした野島断層がそのまま残されている。こうした遺構は慰霊の場として、また災害の教訓を学ぶ場と位置付けられるが、ここを訪ねる旅が「ダークツーリズム」と呼ばれ、観光資源として復興に貢献する側面も指摘される。
だが、東日本大震災では、余りに被害の規模が大きかったためか、単純に残そうという意見でまとまらない例が多い。読売新聞が14年3月の震災3周年を前に被災3県の計500人を対象に実施したアンケート(3月11日朝刊掲載)では、遺構を「解体するべきだ」が47%と、「保存するべきだ」の35%を12ポイント上回った。