福井県越前町沖の定置網に、「マフグ」が大量にかかっている。
1日の水揚げが30トン、40トン… 例年は多い日でも「200キロあればいいほう」というから、漁師らは「春の珍事」とほくそ笑む。
「30トン、40トンが4、5日続いた」
越前町漁業協同組合によると、マフグが大量に水揚げされたのは2014年4月中旬ごろから。漁協では、「連日30トン~40トンが水揚げされました。過去に1日はこのくらい(30トン程度)大量に獲れたことがあったのですが、4、5日も続いたので驚きました」と話す。
4月21日に46トン、22日の明け方には一度に32トンと大漁が続いた。23日の明け方も4.5トンだった。ところが、24日には「どういうわけか、パタッと獲れなくなりました」と、1匹もかからなかったという。
この数日間で、文字どおり「一網打尽」にしてしまったのだろうか――。「なにしろ定置網なんで、(網を)引き揚げてみないことには何が獲れているのかわからないもので…」と、漁協は少々困惑ぎみだ。
福井県越前町といえば、「越前ガニ」や「越前カレイ」で知られるが、いまの季節の定置網漁では、ブリやハマチ、ワラサ、タイ、アジ、サバなどがかかる。この町でいう「フグ」は、天然の「トラフグ」のこと。トラフグは毎年4月から5月にかけて日本海を北上するが、水温の関係からか、越前町沖が最北端なのだそうだ。
一方、マフグは主に塩干品として加工される。毒をもっていることには変わりがないので、大量に水揚げされたマフグは仲卸業者を通じてフグ専門の加工場へと、「1トンあたり5~6万円」で取引された。
それにしても、最近の日本周辺の海はおかしい。珍しい深海魚が定置網に引っかかったり、福井県越前町の「マフグ」や兵庫県香住町の「スズキ」のように、滅多にない大漁に驚かされたりと、不思議なことが相次いでいる。
「幻」といわれていた「ダイオウイカ」でさえ、富山県氷見沖や新潟県佐渡島沖でたびたび水揚げされたことで、すっかり霞んでしまった。