中国や韓国を批判しながら「大東亜共栄圏」の復興を主張する集団が2014年4月20日午後、東京・池袋でデモ行進を行った。
中国や韓国を批判するデモは、しばしば「ヘイトスピーチ」だとして問題にされるが、今回のデモで特異なのは、先頭集団がナチスドイツの象徴として知られるハーケンクロイツ(カギ十字)の旗を掲げ、ナチスドイツの再評価を主張したことだ。ドイツでは公の場でハーケンクロイツを掲げることは原則として違法だとされており、波紋を広げそうだ。
「大日本帝国もナチスドイツも、敗戦したからこそ悪者にされてしまった」
デモは、「支那朝鮮のいない大東亜共栄圏実現・国民大行進!」と題して、「護国志士の会」を名乗る団体が主催。集合場所には、東條英機元首相らA級戦犯7人の死刑が執行された巣鴨プリズンの跡地にあたる、東池袋中央公園を選んだ。
主催者の男性は、
「先人の功績を無駄にせず、過ちを繰り返さないために我々ができることは、支那・朝鮮を抜きにした大東亜共栄圏を実現すること」
とあいさつ。4月20日はヒトラーの125回目の誕生日にあたり、ナチスドイツについても、
「大日本帝国もナチスドイツも、敗戦したからこそ悪者にされてしまったのであり、ドイツに関しては、ナチスを賛美するだけで投獄されてしまうという状況になっている。かつて共に戦った日本が、言論の自由がある日本が、河野談話の再検証とともにナチスドイツの再検証もして、いい部分は取り入れて、名誉を挽回しようではないか」
と主張した。日本が大東亜共栄圏構想を提唱した時期に同盟国だったナチスドイツを称賛する狙いがあるようだ。主催者が主張するナチスドイツの「いい部分」が何かは必ずしも明らかではないが、シュプレヒコールの内容から判断すると、アウトバーンの建設など、主にインフラ整備の面を念頭に置いているようだ。