ヨドバシカメラの採用担当者が、就職活動情報サイト「リクナビ2015」の人事ブログに寄せた文章がインターネット上で反響を呼んでいる。
タイトルは「新入社員が退職した」。男性新入社員のKさんが「この会社は自分に合わないと感じた」との理由で、入社からわずか10日で退職を申し出たという内容だ。
「楽しさを理解するには練習と経験が必要」
ブログは前後編に分け、それぞれ2014年4月15日と18日に公開された。これによるとKさんは、2週間の新人研修が終わる前に退職を決意した。売り場での販売実習を経て「販売はアルバイトの延長のような仕事。ずっと続けていく気にならないし、自分に向かない」と感じたためで、辞めた後は地方上級公務員を目指すそうだ。
だが、なぜ公務員になりたいかを尋ねても、「安定」「楽そう」というぼんやりとした志望動機が伝わってくるだけで、歯切れのいい答えは返ってこない。そこで採用担当者は、慰留を諦めた上で、Kさんが好きだというゲームの話を例に、働いて幸せになるための考え方を自分なりに伝えることにしたという。
「ガンダムEXVSを初めてプレイする人が、対戦プレイで君に勝てるかな?」と質問し、無理と答えるKさんに「手も足も出せずにキミに負けた初心者くんが『ガンダムエクストリームバーサスなんてつまらない!クソゲーだ!』と言ったとしたら、Kさんはどう思う?」と畳みかけた。「ゲームがつまらないんじゃなくて、自分がヘタなだけじゃないですか」と答えると、採用担当者は「楽しさを理解するには練習と経験が必要だよな」と話し、「ちょっとやってみただけで『つまらない』とか『自分には向いていない』っていうのは、早すぎるよな」と本題に移った。
仕事においても同じことが言え、短期間で転職を繰り返す人は楽しさにたどり着く前に職を変えてしまうから幸せになれないと説き、「大切な人生だ。自分がどんな職につくべきかを、もっと真剣に考えたほうがいいと思うよ」とアドバイスした。ブログは「相談を終え退職届を提出して去っていく時の彼は、それまでと違って後ろ向きな逃避ではない、前を向いて一歩踏み出そうとする者の顔をしていた」と結んでいる。