顔や体をすべて覆い隠す「全身タイツ(ゼンタイ)」を着用する日本の愛好家について、海外メディアが取り上げて注目が集まっている。
愛好家が集まって「スリスリ」と体を擦り合わせて独特な感触を楽しむほか、バーベキューなどもするそうだ。
タイツを着ると「全身が敏感になる」
2014年4月17日公開のAFP通信の記事では「ゼンタイ」フェチを取り上げ、約10人からなる「トウキョウゼンタイクラブ」のメンバー数人に話を聞いている。伸縮性のあるスパンデック素材の全身タイツに身を包み、体のラインがぴったりと浮き出たメンバーの写真が掲載されていた。赤やピンク、青色などの明るい色の全身タイツの集団が密着しながら街中に立っているのは不思議な光景だ。クラブのメンバーでバーに行ったりバーベキューをしたりといった活動をするそうだ。
「北極2号」と名乗る会社員の女性は「優しそうだね、子どもっぽいね、ばかそうだね、そういういろいろな印象をみんなが私に言ってくる」と、これまで他人の視線を気になり息苦しさを感じていたが、「全身タイツを着ているとただの『タイツを着ている人』になれる」とAFPの取材に答えた。
米ワシントンポスト紙でもゼンタイの流行について記事が掲載され、「日本は本当におかしい」「日本版のブルカだな」「ゴスロリのほうがおもしろい」といった多数のコメントが付いた。
全身タイツフェチの人々は1990年代ごろからパソコン通信やインターネットでコミュニティを形成し始め、実際に会って交流を深めてきたといわれる。2003年にはテレビ朝日系のテレビ番組「タモリ倶楽部」で特集されるなど、以前からたびたびメディアで扱われてきた。
2004年にはテレビ東京系「裏ジャニ」で関ジャニ∞のメンバーが、ゼンタイ愛好家の交流会を訪れた。参加者の男性は全身タイツを着用すると「全身が敏感になる。窮屈な感じがまた良い」と話し、顔が見えなくなるため大胆なことも可能になるとして、ベッドに男女数人が乱れるようにお互いの体をなでまわして感覚を楽しんでいた。全身タイツ姿のままでの写真撮影も行っていたが、もちろん顔は覆われたままだった。
「ゼンタイ」題材の映画も
ネットで検索するとすぐに「エッチなこと考えるんだけど、パソコンにしがみついてると目がしんどくて、やぱり、ゼンタイきて、目隠しして、目を休めながらスリスリか、洗脳されたい今夜です」といった発言が見つかり、愛好家の数はそう少なくなさそうだ。
また、2013年8月には「ぐるりのこと。」「ハッシュ!」などの作品で知られる橋口亮輔監督による全身タイツ愛好家を題材にしたコメディ映画「ゼンタイ」も公開され、新たに興味を持つ人もいるのか、「ゼンタイいいなー。着てみたいしそれで撮影とかしたい」といいうツイートもあった。