韓国珍島沖の旅客船沈没事故で、韓国当局が出す事故に関する情報に嘘や間違いが多いことから、韓国では政府に対する非難の声が高まるばかりだ。それだけではない。一人の民間人女性がテレビに生出演し、事故に関して全くのデタラメを語り、騒動になっている。今でもその発言を信じている人もいるという。
この女性には逮捕状が出され、2014年4月20日に自ら警察に出頭し取り調べを受け証言の嘘を認めた。韓国のネットではこの女性は誰なのか、なぜ嘘をついたのかなどと大騒ぎになり人物の「特定」が進められた。
「俳優デビューがあるかも」と意味不明のツイート
この女性(26)は14年4月18日午前にニュース専門チャンネルのMBNに民間のダイバーとして生出演し、「報じられている内容に嘘が多い」などと当局やマスコミを非難した。報道では否定しているが、実は船の中には生存者がいてダイバー仲間が甲板越しに会話をしたりサインの交換をしている。そうしたことは警察署長や職員も知っていて、自分たちは早く救助をしたいのに、警察は自分たちの作業を妨害するばかりで「時間をつぶして帰れ」などと追い払おうとしている、などと語った。
生存者がいるという彼女の証言を信じた人たちから韓国政府に対する抗議の声が激しくなると、警察はこの証言内容は真っ赤な嘘であり、この女性は潜水関連の資格証すらないなどとして、虚偽事実の流布容疑で逮捕状を出した。MBNもこの日の午後に報道局長が謝罪することになった。しかし、こうした女性の発言はSNSなどを通じて全国に広がってしまった。
韓国のネットは、この生放送直後に唖然となった。この女性が、ツイッターで驚くべきことを報告したからだ。現場の続報や救助の応援などをつぶやくのだと期待したところ、書かれたのは、「MBNの出演が羨ましいか?」「映画俳優デビューがあるかも」などといったものだった。この女性は変だと激しい反感を買い、いったいあの女性はどんな人物なのか、といった詮索が行われることになった。
そして11年3月に放送されたMBCニュースに同じ名前で出ている映像が発見される。日本で収録された東日本大震災に関する番組で、韓国に帰りたいが韓国料理店で働きながら日本にとどまる若者として登場、「恋人も友達もいるから帰れるわけがない」などと語っていた。この動画を見た人たちからは、「災害の場所が好きなのか?」などといった感想が漏れていた。
いったいこの女性正体は何なのか。韓国のスポーツ紙「スポーツワールド」のキム・ヨンホ記者を名乗る人物が「ツイッター」で、この女性を取材した経験のある自分が正体を明かさなければならないだろう、とし、記事をまとめてネットにアップした。これがこの女性の正体なのだろうとなり、現在の韓国で広く読まれている。