伊コスタ・コンコルディア号事故の船長は2697年求刑
船長のとるべき行動として、よく引き合いに出されるのが1912年のタイタニック号の沈没事故だ。このとき、船長は船とともに海に沈んだ。
米ニューヨーク・タイムズ(2014年4月20日付)はこうした船長の「誇らしい伝統」を、2012年にイタリアの豪華クルーズ船、コスタ・コンコルディア号を捨てて脱出したフランチェスコ・スケッティーノ船長と、イ・ジュンソク船長が「破壊した」と、指摘している。
「海上における人命の安全のための国際条約」は、船長に船と乗客全員の安全に対する責任を負わせている。日本でもその「精神」は船員法に込められており、1955年の宇高連絡船「紫雲丸」事故(旧船員法)をはじめ、たびたび船長が殉職してきた。
ただ、現行の船員法に「船長の最後退船義務」はなく、「船長の在船義務」と「船長の船舶危険処置」を求めているに過ぎない。船長が最初に逃げることが許されないのはわかるが、法的な責任となると微妙ではある。誘導もしなければ、業務を怠り乗員・乗客を死なせたとみなされ、業務上過失致死などの罪は免れない。
一方、韓国の中央日報(4月18日付)によると、逮捕されたイ船長らは業務上過失致死または重過失致死傷の容疑が適用されるとみている。
しかし、法定刑は5年以下の禁錮または2000万ウォン(約200万円)以下の罰金にすぎない。50人超が亡くなり、まだ200人超が行方不明の大惨事を引き起こしたことを考えると、「あまりに処罰の程度が軽い」という声も大きくなってきた。
実際に、伊コスタ・コンコルディア号の座礁事故で、真っ先に逃げた船長には2697年刑が求刑されているという。