実力者起用をうたったのに5代目に孫指名
こうした複雑な経緯があり、2人の関係はその後もよくなかったらしい。原因の一つが、2013年7月に寛さんが発表した「五代目家元」だ。貴彦さんの話によると、寛さんは4代目就任後「血筋の者に家元を譲っていくのは、もうこの時代ナンセンス。これからは自分が実力のある者を選んでいく」と、実力主義の家元選びを明言していたそうだが、 13年には自身の孫である大学生の花柳芳次郎さんを5代目壽輔に指名した。これに貴彦さんは「ご自分が血筋はナンセンスだと言っていたことへの矛盾は、どう抱えてらっしゃるのだろう」と批判的な見方を示し、「流儀の事を思ってくださっているのか正直不安」と漏らした。
さらに貴彦さんは取材に対し、14年1月に花柳流の新年総会に入れてもらえず「門前払い」された際のエピソードも語っていた。そうしたことから、寛さんとの関係性について「寛さんとしては(私が)目の上のたんこぶというか、存在自体が嫌なのだろうと思います」とも話していた。
当事者の一方の側の見方だけに、どこまで正しいのかは分からない部分があるが、寛さん側は現時点では取材に一切応じていない。
「泥沼化」した名家のゴタゴタは、日本舞踊という特殊な世界の話でありながらも「二時間ドラマみたいな展開だなぁ。殺人が起きないだけで」「まるで二時間サスペンスドラマ。ほんまに起こってんねなぁ、こんな事が」などとインターネット上でも関心を集めている。