中国と韓国がEEZの拡大に「横やり」
沖ノ鳥島は、太平洋上に浮かぶ日本最南端の島(サンゴ礁)。満潮時には東小島、北小島と呼ばれる2つの小島を除いて海面下に水没するが、干潮時には環礁の大部分が海面上に姿を現す。
日本は「海洋法に関する国際連合条約」(国連海洋法条約)発効に併せて制定した「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」に基づき、沖ノ鳥島を中心とする排他的経済水域(EEZ)を設定しているが、2003年以降、中国や韓国が日本の主張に対して異議を申し立てている。
日本は、満潮時でも水面上に出ている部分がわずかにある沖ノ鳥島を「島」であると主張。一方、中国や韓国は沖ノ鳥島が「島」にはあたらず、EZZは認められないというのだ。
政府は現在、大陸棚限界委員会に対して沖ノ鳥島を基点とする大陸棚の延長を申請中で、条件を満たせば、自国沿岸から200海里という通常の範囲を超えてEZZを設定できる。日本としては、桟橋ができて海洋調査船が接岸できるようになることで「島」であるとの主張を「補強」して、EZZを拡大しようとしたわけだ。
日本にとっては、EZZだけの問題ではない。沖ノ鳥島近海はレアアースなどが見込める水域で、資源開発にとっても大切な「島」とされる。日経ビジネス(2014年4月14日号)では、東海大学の山田吉彦教授が、「日本の国益を左右する極めて重要な工事なのに、誰も知らないところで粛々と進めていた。その結果、監視の目が行き届かず、事故につながった面は否めない」と指摘している。
不慮の事故とはいえ、桟橋の建設計画が明るみになったことで、中国や韓国の反発が強まる可能性は否定できない。建設が中止にでもなれば、日本の国益を損ねる可能性もある。