2016年の電力小売り全面自由化に向け、新規参入が活発になっている。
大手電力会社による地域独占となっている一般家庭など向け電力小売りが自由化されれば、利用者は他地域の電力会社や新規参入組を含めて料金やサービスを比較して購入先を選べるようになる。家庭向けの7.5兆円市場をにらみ、通信や商社などの参入で、早くも乱戦模様だ。
現状では全販売量の60%が自由化
電力の小売り自由化は2000年から大工場やオフィスビルなど大口需要家向けから始まり、中規模工場やスーパーなどにも拡大され、現状では全販売量の60%が自由化されている。その総仕上げが家庭や小規模商店などを含む全面自由化で、政府は2014年2月末に電気事業法改正案を閣議決定し、開会中の通常国会に提出、会期内の成立を目指す。2016年に小売りを全面自由化した後、2018~2020年をめどに電力会社の発電部門と送電部門を分離し、小売りの料金規制も撤廃して電力システム改革は完成する。
このうち、発電・送電分離は、適正な競争条件を整える大きなポイントになる。既存の大手電力会社は発電と送電を握る既存の大手電力会社に対し、送電部門を持たない新規参入業者は送電線の利用料が割高との不満が強い。発・送電分離は、大手と新規事業者の対等な料金競争の基盤になる。新規参入が盛んなのは、こうした条件整備が背景にある。