減税よりも新産業投資への条件整備を、という声も
また、日本の大手企業は270兆円もの内部留保を抱え、資金不足の状態ではないとして、「減税よりも新産業投資への条件整備をする支出政策が求められている」(神野直彦・地方財政審議会会長=東京大学名誉教授、3月31日毎日新聞)という声も根強い。
経済財政諮問会議の民間議員からは、「法人税パラドクス」のほかにも、アベノミクスによる潜在成長力の高まりや繰越欠損金の減少などを通じて、法人税収の拡大が見込まれることから、それによる法人税収の増加分を税率引き下げの原資にして還元すべきだとの議論も出ている。
安倍首相は法人税率引き下げを6月に発表する「骨太の方針」の新たな成長戦略の目玉にしたい考えとされる。これに向け、財務省とともに税率引き下げに慎重な自民党税制調査会も巻き込んで、厳しい議論になりそうだ。