法人税下げても税収は増えるという理論 財務省は反論、安倍首相サイドと論争?

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財務省は「税率と税収の因果関係は明確ではない」

   伊藤教授らはこれに倣い、英独と韓国の3か国について、1995年(韓国は2000年)~2012年の法人税収の増減を分析した。それによると、英国は税率を33%から段階的に23%まで下げ、年平均の税収は4.8%伸びたが、うち4.5%分は経済成長により企業の課税所得が拡大。30.8%だった税率を24.2%に6%強下げた韓国も法人税収が8.4%増え、6.5%分が経済成長で説明できるとした。ただし、税率を55.1%から30.2%に約25%下げたドイツでは、減価償却制度の見直しなど課税ベースの拡大が法人税収6.4%分の増収要因となり、税率下げが約3.7%分の税収減要因として働いたものの、差し引きで5.6%プラスになったとしている。

   法人税収増の要因として、ほかに、所得税より法人税の税率が低くなったことで個人事業主が法人に衣替えしたことで納める税金の項目が所得税から法人税にシフトしたことも挙げられる。

   「法人税パラドックス」に対し、財務省は「単なる景気要因の可能性もある」と反論している。その一つの論拠になっているのが、経済協力開発機構(OECD)の資料。それによると、OECD諸国のうち、1995~2011年の間に法人税率を引き下げた英国やドイツなどの28カ国は、1995年の法人税収を100とした場合、2011年には平均で294にまで伸びた一方、その間に法人税率を引き下げていない米国、フランスなど4か国の2011年の平均は479で、税率を引き下げた国々を上回った、というもの。ITバブルが崩壊した2000~2001年と、リーマン・ショックが起きた2008~2009年は、引き下げた国も引き下げない国も税収が落ちており、「税率と税収の因果関係は明確ではない」(財務省筋)と指摘する。

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