法人税下げても税収は増えるという理論 財務省は反論、安倍首相サイドと論争?

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   安倍晋三首相が法人税減税に前のめりだが、法人税率を下げても税収は減らないどころか、増える、という説が浮上し、注目を集めている。

   安倍首相は「アベノミクス」の第3の矢である成長戦略の重要な柱として法人税の実効税率引き下げを掲げ、2014年1月にスイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の基調講演で「本年、さらなる法人税改革に着手する」と表明し、法人税率の引き下げを事実上の国際公約にした。

経済成長で企業収益が伸びて納税額が増えるという好循環

   日本の企業にかかる実効税率は35.64%と世界で見ると高水準にあり、それが日本の国際競争力の大きな阻害要因になっているというのが経済界の主張だ。首相もこうした問題意識を持っているようだ。税率を下げることで、日本への投資を呼び込むと同時に、日本企業の競争力を高め、日本経済を活性化させようという狙いだ。具体的にはアジア諸国並みの25%程度まで、段階的にでも引き下げることを想定している。

   企業が同じ利益を挙げていた場合、税率を下げれば納める税金は減るので、税収も落ち込む道理だが、政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)の伊藤元重東大教授ら民間議員は、税率を下げても税収が落ちない、あるいは増えるという論を展開し、安倍首相を援護射撃している。

   この考えは「法人税パラドックス(逆説)」と呼ばれるが、一言でいえば、経済成長で企業収益が伸びて納税額が増えるということだ。コペンハーゲン大学(デンマーク)のピーター・セーレンセン教授が2007年に発表したものとされ、欧州連合(EU)15か国の法人税の実効税率が1995年から2007年までの間に37.7%から28.7%にまで引き下げられたのに、法人税収の対国内総生産(GDP)比は2.2%から3.2%にまで増加したという内容だ。

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