美少女フィギュアの写真などを掲載するブログに対して、「児童ポルノまたはそれに類する疑いのある内容の投稿があるという指摘」があったとして、2週間後に停止・削除するという一方的な通知を運営会社が出した。
児童ポルノ規制法はフィギュアを対象としていない、と反発したユーザーらが抗議の署名を行い、運営会社に提出した。
「作品をわいせつ物扱いした奴らは絶対に許さない!」
問題になったのはGMOメディアが運営するブログサービス「teacup.ブログAutoPage」だ。2014年3月31日、複数のユーザーが同社から
「このたび外部機関より、ご利用ブログに児童ポルノまたは それに類する疑いのある内容の投稿があるという指摘があり、 昨今の社会情勢の変化等を鑑みた結果、誠に申し訳ございませんが、 当ブログを削除させていただく事となりました」
という連絡を突然受けたとツイッターで明かした。
しかし、それらブログには実在児童の画像の掲載はなく、組み立て式の「ガレージキット」と呼ばれるフィギュアについて、細かなパーツや塗装過程を写真とともに伝える内容などだった。利用規約の違反事項に該当する項目も見当たらずユーザーは、「年齢不詳(幼い?)美少女のフィギュアがダメなんですかねえ」「丹精込めて造った作品をわいせつ物扱いした奴らは絶対に許さない!」と激怒している。フィギュアを扱うブログ以外にも、イラストを主に扱うサイトにも削除連絡が届いたという。
これを受けてフリーライターの廣田恵介氏が4月3日、署名サイト「change.org」で「フィギュアは、児童ポルノではありません。」というタイトルで1000人を目標とする抗議の署名活動を始めた。
「イラストやフィギュアなど、被害児童の存在しない創作物、無生物に関して『児童ポルノ』なる呼称を用いることのないよう、強くお願い申し上げます。また同時に、『児童ポルノまたは それに類する疑いのある内容』などという曖昧かつ無責任な言辞によって個人の創作活動を阻害なさらぬよう、重ねて強くお願い申し上げます」
などとGMOメディアに訴える文面だ。
ツイッターで漫画家などによっても拡散され、「今後、こんな事がまかり通ってはダメだと思う」「実在の性虐待被害者を救わない行為、被害者に沈黙を強いる行為に、加担しないでいただきたい」と賛同の声が集まり、4日間で目標人数1000人を突破した。
「児童ポルノは根絶すべきだけど、これは方向性を間違っている」
4月9日、集めた1118人分の署名を発起人の廣田氏と「エンターテイメント表現の自由の会」、参議院議員の 山田太郎氏らが共同でGMOメディアに提出した。
署名提出後に廣田氏はツイッターで、GMOメディアに指摘をした「外部機関」とは警察や政治団体などではなく「広告主」であると伝えた。また当初はブログを4月10日に停止・削除するとしていたが、今回の署名を受けて1週間期限を延長するという。
ネットでは「児童ポルノは根絶すべきだけど、これは方向性を間違っている」などと批判する声が相次いでいるが、同社はJ-CASTニュースに対し、
「本件につきましては、お問い合わせを頂いたユーザーの方に、本日個別にご案内をさせていただいておりますので、現在のところ取材をお受けすることは検討しておりません」
としている。
ブログ削除の予告を受けたあるユーザーは9日18時半に連絡が届いたと言い、全文をブログに公開した。
「今回のブログ削除に関するご連絡において『児童ポルノまたはそれに類する疑いのある内容の投稿』という不足した表現を使用したことにより、本来児童ポルノにあたらないものについても該当するかのような誤解と混乱を招きましたことを、深くお詫び申し上げます」
という謝罪の記述があった。