女性の社会進出を促すためだとして、安倍晋三首相が家事などに外国人労働者を受け入れることを検討するよう指示した。実現すれば、家庭内に外国人が入ってくることになるだけに、ネット上で、異論も続出している。
安倍首相が検討を指示したのは、2014年4月4日にあった政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議内のことだ。
育児・介護中で就業できない女性が220万人強
ここでは、経済財政諮問会議メンバーの民間有識者から、家事などでの外国人活用の提言があった。内閣府サイトにアップされた甘利明内閣府特命相の会見要旨によると、その提言とは、「何よりも家事、介護人材がいなければ女性の活躍推進はできない」「家事支援、介護支援などについては、新しい枠組みをつくる必要もあるのではないか」というものだった。
諮問会議には、民間から、伊藤元重東大大学院教授、小林喜光三菱ケミカルホールディングス社長、佐々木則夫東芝副会長、高橋進日本総研理事長が参加している。4人は、安倍首相が中心になって選んだ。内閣府では、うち誰が提言したのかは取材に明かさなかったが、4人は連名で、家事などへの外国人サポートを検討すべきとする資料を会議に提出していた。そこでは、育児・介護中のため願望があっても就業できない女性が220万人強もいるとして、外国人活用は「持続的成長のためのグローバル化の課題」だとしている。
安倍首相は、合同会議の最後でそのことについて発言した。会見要旨によると、政府は移民政策の導入を検討しておらず、そう誤解されないように配慮するとしたうえで、「女性の活躍推進や中長期的な経済成長の観点から、十分な管理体制の下でのさらなる外国人材の活用の仕組みについても、検討を進めてもらいたい」と述べた。
会議では、新藤義孝総務相と谷垣禎一法務相から、国家戦略特区を作って外国人の家事・介護支援を試す案が出たのに対し、安倍首相は、「特区の活用も含めて検討してもらいたい」との意向も示した。