三陸鉄道、国費100億投入して全線復旧 霞が関から漏れる「鉄道はムダ、BRTで十分だった」の声

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気仙沼線では鉄道とBRTで「一桁違う」復旧費用

   例えば11年に国交省が示した気仙沼線の復旧費用の試算では、全線鉄道の場合が数百億円かかるのに対して、全線BRTでは数十億円と「一桁違う」金額になっている。このこともあって、大船渡線、気仙沼線については「最終的には鉄道で復旧させる」という前提条件がついているものの、沿線自治体の同意も得られてBRTで「仮復旧」されている。

   ただ、この2路線の営業係数は600程度。この2路線と比べれば三陸鉄道ははるかに健全経営で、これに政治判断が加わって比較的早期の鉄道全線復旧が実現できたようだ。

   現時点でも、太平洋側には不通区間が多く残されている。その中で焦点になりそうなのが、三陸鉄道北リアス線の南端、宮古駅と南リアス線の北端、釜石駅を結ぶJR山田線だ。この山田線は現時点では運行再開のメドは立っていない。政府は黒字企業のJR東日本に財政支援を行うことができないため、約210億円かかる復旧費用の財源をどうするかが課題になっている。

   また、14年1月には、JRが施設を復旧させた上で運行を三陸鉄道に移管する案が提案された。仮にこれが実現すれば、三陸鉄道としては北リアス線と南リアス線を一体で経営できるようになるが、山田線は営業係数が軽く600を超える赤字路線。JRの提案には、早くも「赤字路線を地元に押し付けようとしている」といった批判も出ている。

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