アルバイト時給、ここ数か月「最高値」記録 外食産業の人手不足深刻、1000円でも確保できない

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   都市部でアルバイト・パートの平均時給の上昇が続いている。業種によっては人手不足が深刻化し、人員確保のため「ニンジン作戦」に出ているためだ。

   そのひとつが外食産業。時給は、過去最高レベルの1000円に達しているところも少なくない。

ホールスタッフ、調理師で7万件超える求人

バイト不足に悩む居酒屋もあるようだ
バイト不足に悩む居酒屋もあるようだ

   東京のJR四ツ谷駅前に立ち並ぶ飲食店街を歩くと、店頭に掲げられた「アルバイト・パート募集」の張り紙をいくつも見かけた。居酒屋の「ホールスタッフ」「調理補助」の求人が多かったが、ラーメン店やファストフード店、喫茶店にも張られている。時給は時間帯によって異なるが、最も多かったのが「1000円」だ。最低額でも日中の勤務で900円、最も高額だった深夜時間帯の牛丼店は1300円を超えた。募集はチェーン店、個人経営問わず出ている。

   外食産業のバイト・パートの時給は、全国的にも確実に上がっている。リクルートジョブズが2014年3月20日に発表した首都圏、東海、関西の「3大都市圏」における2014年2月度の平均時給は、前年同月比10円増の924円となった。増加率は1.1%で、「高止まり」と分析しつつもわずかではあるがいまだに上昇が続いている。首都圏では971円に達した。

   リクルートジョブズに聞くと、外食のほかコンビニエンスストアなどを含む販売・サービスや製造・物流・清掃といった業種でも時給は上がっていると話す。ただ外食は、「新規出店ラッシュが起きていることから、バイト・パートの需要が旺盛」と説明した。同社が2006年に統計を取り始めて以降、ここ数か月は時給が「最高値」を記録しているそうだ。

   こうした動きはもちろん、景気動向と無縁ではない。景気回復がメディアなどで報じられ、「5年ぶりに冬のボーナス増」「企業が続々とベア実施」と実態も追いついてきた。財布のひもを少し緩めて、外食する機会を増やす人が多くなる。飲食店側はこれを好機ととらえて、新規出店へと舵を切る。店舗運営にはまとまった人数が必要なのだが、簡単に集まらないため時給面で高待遇を提示し、何とか人手不足を解消したいというわけだ。

   リクルートジョブズが調査対象とした3大都市圏のバイト・パート求人情報のうち、最も多かったのが飲食店のホールスタッフで4万件を超える。2番目は調理師で、3万1000件ほどだ。3番目のコンビニスタッフが約1万8500件なので、外食に携わる上位ふたつの職種がいかに多いかが分かる。外食はバイト・パートに支えられているのだ。

仕事がきついから若者が敬遠しているとは言い切れない

   外食のバイトは、圧倒的に若い世代が多い。バイト情報を提供するインテリジェンスが2014年3月17日に発行した「anレポート」によると、アンケートに回答した15~34歳のうち、外食バイトの6割が20代前半より若かった。

   一方で、近年の少子化により若者人口が減少している事実があると、リクルートジョブズの担当者は指摘する。ただでさえ募集件数が多い外食業界で、柱となっている若者バイトの絶対数が減っているのだから、あちこちで「争奪戦」が起きているようだ。

   インターネット上では、外食のバイトが「きつい」という声もある。長時間の重労働、作業の種類が多くて接客も大変との嘆きだ。こうしたイメージが広がり、若者が外食産業で働くのをちゅうちょするようになったのか。リクルートジョブズの担当者は、「そういう議論があるのは承知していますが、外食のバイト・パート不足の要因になっているとは必ずしも言えません」と否定した。外食事業者は、確保したバイトに継続的に務めてもらえるように待遇の良さや「魅力ある職場づくり」でアピールしているという。

   2014年2月4日放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京系)では、ある居酒屋が採用後2週間辞めなかったバイトに一時金を支給、前借りも許可していると紹介した。別の居酒屋の場合、就活を機にバイトを離れる学生が多いため、就活中も仕事を続けてもらおうと「就活セミナー」を開いて支援するという。

   さらに時給アップも試みているが、人件費の占める割合が大きい外食産業では、経営側にとって大きな負担となる。懸命に資金をひねり出すものの、新規出店増や若者人口減といった諸条件が重なって思うように人を集められないというのが現状のようだ。

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