「マー君」から「ビッグ・マサ」へ 田中将大初先発初勝利、ヤンキース「161億円」は大正解だった

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   全米野球ファンが注目するなかで、ヤンキースの田中将大が2014年4月5日のブルージェイズ戦で初先発し、勝利を手にした。

   3点を失ったものの、前評判通りの投球を披露。早くも「エースはマサ」の声も。

立ち上がり3失点も立て直すところに「エースの予感」

   先頭打者にいきなり本塁打。2回にも2点タイムリーを浴びて序盤で3点を失った。デビューが敵地トロントであること、カナダは寒いこと、球場のマウンドが投げづらいことで知られることなどから、どうなることやら、と思いきや、3回から立ち直って7回まで投げて役目を果たした。日米通算100勝目という記念の1勝だった。

   メジャー第1球は名刺代わりの外角低めへの93マイル(150km/h)のストレート。終わってみれば、ちゃんと8三振を奪っている。素晴らしいのは四球ゼロだったことだ。

「前半はバタバタしたけど、徐々にリズムをつかんで投げることができた。回が進むにつれ集中力が増した」

   試合後の田中のコメントである。立ち上がりから変化球が多かった。捕手が決め球のスプリッドばかり求めたからで、日本での組み立てとかなり違った。

   本来のペースに戻すため、田中はマウンドで、ベンチで捕手と何度も確認を行い、中盤からは速球と変化球のバランスがよくなった。遠慮なく捕手に自分の意思を伝え、すぐ修正したところは、並の投手ではない。

   ヤンキースはアストロズとの開幕戦に敗れ、黒星スタート。以後の試合も投手陣は心許なく、打線も空回り。ペナント奪回への不安がよぎった。

   そんなチーム状態だけに、田中のピッチングは堂々たるもので、「負けない投球」の見本を見せたともいえる。リードを奪うと、それをがっちり守り切るところは、間もなくエースの座に就くことを予感させる。

   マウンドのスタイルは楽天時代と同じだった。「さほど緊張しなかった」というから大したものである。やはり高校時代の甲子園、楽天では日本シリーズといった大観衆の前で投げ、実績を残した男だ。

   いうまでもなく田中は「7年、161億円の男」。勝って当たり前、負けたら非難、という存在だ。そんな周囲の目などほとんど気にしないところが屈託のない田中らしい。もう「マーくん」ではなく、「ビッグ・マサ」と呼ばれることになるだろう。

   この田中のデビューで、黒田をはじめとする他の投手たちも奮起するはず。とりわけ開幕戦で打ち込まれたサバシアはエンジンをかけ直すだろう。そういう意味でも田中に大金を投じた理由が分かる。

   今のヤンキースは過渡期に入った。昨年限りでクローザーのリベラが引退。チームリーダーのジーターも今季限りで現役を退く。前年まで打線の軸だったカノーが移籍するなど、新たな主軸を必要とする状況。名門が復活にやっきとなっている。田中はその象徴として招かれたといっていい。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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