3号機は1号機の3倍の出力
だが、これは古い原発の廃止を受け入れつつ、新しい原発は再稼働させ、計画中の原発の新設も進めようと、経産省が編み出した制度。このため、島根1号機の廃炉問題は、脱原発の流れで捉えるのは適切ではないようだ。
中国電力は島根原発1号機の廃炉と引き換えに、ほぼ完成した同3号機の運転開始を求めてくるのが必至だ。国内には現在、建設中の原発が3機あり、そのひとつがこの3号機だ。2005年12月に着工し、当初は2011年12月に営業運転開始の予定だったが、福島第1原発事故の影響で計画はストップしている。「設備的には完成しており、燃料装荷までに受検する国の使用前検査もすべて終了している」(中国電力)という。この運転開始に早く目処は立てたいのが中国電力の本音だ。
特に、3号機は出力が137万キロワットと、老朽化した1号機の約3倍にもなる。「電力会社としては、出力の低い1号機に多額のカネを投じて対策を講じるよりも、3号機の運転を早く認めてもらう方がメリットははるかに大きい」(電力関係者)。1号機廃炉・3号機稼動なら、事実上のリプレース(後継機の置き換え)となる。中国電力は島根原発2号機(出力82万キロワット、1989年2月運転開始)の再稼動を原子力規制委に既に申請しているが、いずれ3号機についても運転開始を申請するとみられている。
「廃炉」と聞くと、脱原発に資するように思えるが、島根1号機の場合は、脱原発派が単純に歓迎とはいかないようだ。