「永遠に口をふさげ」と脅されていた韓国ポスコ元研究員が技術盗用手口を証言 新日鉄OBから長期間、組織的に入手していた

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   特殊鋼板の製造技術を盗用されたとして、新日鉄住金が韓国の製鉄大手ポスコなどに約1000億円の損害賠償と製造・販売の差し止めを求めた訴訟で、新日鉄住金が東京地裁に証拠としてポスコの元研究員の陳述書を提出した。

   そこにはポスコの技術盗用の手口が明らかにされており、「独自技術」というポスコの主張を覆す決め手になると期待されている。

組織ぐるみ、旧新日鉄OBの技術者に数億円

新日鉄住金は新たな証拠としてポスコ元研究員の陳述書を提出した。(画像は、新日鉄住金のホームページ)
新日鉄住金は新たな証拠としてポスコ元研究員の陳述書を提出した。(画像は、新日鉄住金のホームページ)

   新日鉄住金が提出したポスコ元研究員の陳述書は、ポスコが旧新日鉄OBの技術者から組織的に機密情報を入手していたとする内容だ。A4用紙33ページに及び、新日鉄住金が2012年4月に提訴して以来初めて、ポスコの内部にいた人物が組織的な関与を証言した。

   陳述書を書いたのは、ポスコの東京研究所(現日本法人ポスコジャパン)に在籍した韓国人の元研究員。この人物はポスコの技術を中国の鉄鋼メーカー宝山鋼鉄に不正流出させたとして韓国で有罪判決を受けている。

   このときの裁判で、元研究員は「流出した技術はポスコのものでなく新日鉄の技術」と主張。また情報を漏らした旧新日鉄OBの技術者の名前も登場したことから、新日鉄住金が証拠保全手続きで元技術者の保有する資料を押さえ、提訴につながった経緯がある。証言の精度としては高いとみられる。

   陳述書には、元研究員はポスコ側から「永遠に口をふさげ」などと言われていたとされ、このまま言いなりになっては一生仕事ができなくなると考えて新日鉄に面談を求めた、などと記している。

   ポスコの東京研究所は「名ばかりで、実験設備は何もなく、もっぱら日本の鉄鋼メーカーの情報を収集しては韓国の本社に送っていた」。新日鉄住金は、「(元研究員は)ポスコの部長クラスから圧迫を受けていたため、(旧新日鉄を)頼ったようです」と話している。

   ポスコは旧新日鉄の技術者と学会などで接触していた。セミナー講師などを依頼したりしながら関係を深め、心理的なハードルを低くしていったようで、韓国の大学などの客員教授のポストも用意し、ポスコとの共同研究などを行っていた。同時に、多額の報酬を用意。機密情報の提供の見返りとして、「数億円(数十億ウォン)を渡していたようです」(新日鉄住金)という。

   新日鉄住金は、「(OB技術者との接触など組織的な関与について)これまでに主張してきたことを裏づけている」としている。

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