日本は米国をゆさぶる戦術に使おうとしている
日豪EPA交渉の進展は、難航するTPP交渉と微妙に関連している。TPP交渉は昨年12月、今年2月と「妥結」を目指しながら、断念せざるを得なかった。最大の問題は日米関税交渉の行き詰まりだ。日本が国内農業を守るため、コメや牛・豚肉など農産品の「重要5項目」の関税維持を主張するのに対し、米国はTPPの大原則である全廃を要求。経済規模が大きい日米のこう着でTPP交渉全体が停滞してしまっている。
そんな中、日本が米国を動かす戦術に使おうとしているのが日豪EPAだ。豪州産牛肉と米国産牛肉は現在、日本市場でし烈なシェア争いを展開している。米国産牛肉は、牛海綿状脳症(BSE)の発生で一時、日本が禁輸措置を取り、シェアのほとんどを豪州産が奪った。しかし徐々に禁輸措置が緩和されると米国産は勢いを回復、豪州産を激しく追い上げている。