画像差し替え申し出た時も「博士論文画像」だったとは伝えなかった
2点目が、
「そもそも、この画像取り違えについては、外部から一切指摘のない時点で、私が自ら点検する中でミスを発見し、ネイチャーと調査委員会に報告したものです」
という「自首」説。この主張も、大きく2つの点で疑問が出ている。一つ目が、画像の取り違えを申告した際も、事実と異なる説明をしていた可能性だ。調査委員会によると、小保方氏は2014年2月20日に「元々論文に記載された画像が実は間違っていました」などと画像の差し替えを申し入れた。小保方氏はその理由を、
「ネイチャーの記述では、脾臓の血液系細胞から作製したSTAP細胞を使用したという記述がなされている。一方、これらの画像は実は骨髄の血液系細胞から作製したSTAP細胞を使用しているのが分かった」
と説明していた。つまり、差し替え前の画像もSTAP細胞に関連するものだという説明だが、実際に掲載されていたのはSTAP細胞とは無関係な博士論文に関連するものだった。この点は、小保方氏は2月20日の時点では調査委員会には説明しておらず、「隠していた」との批判も出そうだ。
もうひとつは、この博士論文からの画像流用疑惑は、ネット上では遅くとも2月13日には指摘されていたという点だ。ネット上の指摘が出てから小保方氏が「ミス」を申し出るまでに1週間のタイムラグがあったことになる。小保方氏の「外部から一切指摘のない時点で、私が自ら点検する中でミスを発見し」という主張は、さらに検証が求められることになりそうだ。
不服申し立て期間は、小保方氏が調査報告書を受け取った3月31日から10日間。その後の再調査期間が最長で50日なので、遅くとも2か月後には小保方氏の不正行為に関する最終的な結論が出ることになる。改めて不正が認定された場合、理研は論文の取り下げを勧告し、懲戒委員会で処分を検討することになる。