「アウエーの日韓」プラス「中東の審判」が危ない サンフレッチェ、終了直前に不可解反則取られる

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   アジアのサッカークラブチームがタイトルを争う「アジア・チャンピオンズリーグ」(ACL)に出場しているJリーグ、サンフレッチェ広島が審判の笛に泣かされた。1点リードで迎えた試合終了間際に、立て続けに反則を取られてPKを2回献上、うち1回を決められて白星を逃した。

   相手は韓国のFCソウルで、試合は敵地で行われた。主審はカタール出身だ。実は1年前にも、「アウエーの日韓クラブ対決、中東の審判」という取り合わせで不可解なジャッジが起きていた。

「相手フォワードが体を預けていたように見えます」

必死のプレーが反則ととられることも
必死のプレーが反則ととられることも

   「疑惑の判定」のひとつ目は後半44分、広島の水本裕貴選手が相手プレーヤーのユニホームをつかんだとしてレッドカードを突き付けられ、PKとなった。これは広島のキーパーがセーブし、難を逃れた。

   ところがその数分後、今度はゴール前の競り合いで千葉和彦選手が相手をつかんだと判断されて反則を取られた。またもPKだ。これはキーパーも防ぎきれず土壇場で同点に追いつかれ、そのまま試合は引き分けに終わった。

   残り時間わずかになってから続けざまの納得できない判定に、広島の森保一監督は試合後「どうしようもできない力が働いた。2点目をとってから、明らかに判定が偏ったと思う」と怒りをあらわにして、アジア・サッカー連盟(AFC)に抗議文を提出した。

   2度の反則裁定についてサッカー解説者の北澤豪氏は、試合のダイジェスト番組で「理解できないレフェリング。でも、アジアの中ではこういうこともあると理解しないと1次リーグを突破できない」と語った。試合中、FCソウルの選手が3人がかりで広島のキーパーに体当たりするようなシーンがあったが、これはファールとならなかった。要所で「広島不利」に傾いた印象もある。

   「フットボールレフェリージャーナル」を運営するサッカージャーナリストの石井紘人氏に、2本のPKの原因となったプレーを聞いた。1本目は「水本選手が相手選手のユニホームをつかんで引っ張ってしまったので、ファウルの判定は仕方がないと思います」と話す。審判のライセンスを持つ石井氏から見ても、妥当だったようだ。これに対して2本目は「千葉選手の右腕が相手選手に影響したかどうかは微妙で、むしろ相手フォワードが体を預けていたように見えます」と指摘した。広島側にとって厳しい判定だったという。

閑古鳥が鳴く試合で笛を吹いている中東の審判

   ただ石井氏は、プレー中に相手のユニホームをつかむ「ホールディング」は近年、世界的に見て厳しく反則と認定される傾向が強くなっていると指摘した。1回目のPKで、広島側が「ホールディングは気を付けろ」と選手間で意思統一しておくべきだったかもしれない。

   とは言え、どうも日本は中東の審判と相性が悪そうだ。1年前の2013年4月3日、同じACLの柏レイソルの試合でも審判の判断に首をかしげる事態が起きていた。後半だけで、柏の相手だった韓国・水原サムスンにPKを4本も与えたのだ。試合は6―2で柏が勝ったが、異例のジャッジと言わざるを得ない。主審はイラン人だった。ACLの日韓クラブ対決で2年続けて、笛を吹いた中東出身の審判に日本側が不利となる判定が下されたのは何かの因縁だろうか。

   代表戦でも、「中東の笛」に泣かされたことがある。記憶に新しいのは2012年6月12日に行われたW杯ブラジル大会のアジア最終予選、日本―オーストラリア戦だ。同点で迎えた後半ロスタイム、「最後のプレー」と見られた本田圭佑選手のフリーキックの場面で、ボールを蹴ろうとした瞬間にいきなり主審が試合終了を告げたのだ。本田選手は驚いた様子でアピールするも、審判団はそのままピッチを後にした。この時の主審はサウジアラビア出身だった。

   こう続くと、広島・森保監督のように「どうしようもできない力が働いた」と疑わしく思ってしまうかもしれない。だが石井氏は「AFCの審判委員会は、日本人も委員長を務めたことがありますが、審判を厳しく指導しています」と説明する。個々の審判が不正を働いて一方のチームに加担する土壌などないというわけだ。ただ技量の面となると、全員が高レベルとは言い切れないかもしれない。特に中東の場合、現地のリーグ戦では観客が非常に少ない中で審判が試合を裁いているという。「普段は閑古鳥が鳴く試合で笛を吹いているのに、ACL、さらにはW杯のようにスタンドが満員になるようなビッグゲームに出場となれば、慣れていない審判が舞い上がってしまうかもしれません」(石井氏)。いつもと違う精神状態で試合に臨めば、ジャッジに影響が出ないとも限らない。

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